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奴隷勝負 (SS挿絵リクエスト) by森谷2009-07-20(Mon)
ちょっと仕上げを急ぎすぎました。挿絵のリクエストです。
(11月16日追記)
SSを執筆していただきましたもけさんに転載許可をいただきました。
もけさんのサイトには他にもSS多数です。是非!
written by もけ
「はぁ……はぁ……」
赤い鱗を持つ竜人の男が、何処か虚ろな目を宙へと向け、首輪につなげられた鎖で引かれるまま、四つん這いに歩いていた。
その白雉のような面持ちに反して、彼の体はまるで作られたかのように均整のとれた筋肉に包まれ、虚ろな目つきと、だらしなく開かれて湿った呼吸を繰り返す口元を差し引いても、充分に魅力的だった。
雄々しい一対の角は、尖った先端を攻撃的に前方へと向け、彼がこうなる以前の、気性の荒々しさを物語っているようである。
そして、そんな赤竜をまるでペットのように引き連れて、大勢の見守るステージへと登るのは、白と黒の毛皮を持つ、猫の少年だった。
年の頃も随分と若く、十代前半程度にしか見ることが出来ない。彼はまるで、流行り物の玩具の大会に出るかのように、純粋な高揚感に頬を紅潮させている。
実際、赤竜のような奴隷は、流行り物の玩具と呼べるようなものだった。他国への侵略によって奴隷の絶対数が増え、今や一般市民でも手を出せる程度に奴隷の価値は下がっていた。
いいとこの坊ちゃんである彼が親にせがめば、完全に調教の完了した奴隷の一匹や二匹、簡単に買ってもらえたのだ。
友達が持ってるなかでも、一番上等な奴隷なのだから、きっと今日も期待に応えてくれる。そしたら頭を撫でて、ご褒美として、競走馬の小屋に一晩泊めてやろう。そうしたらこの赤竜は、とても喜ぶのだ。
少年は鼻先をもごもごと動かし、少しだけ緊張するような仕草で髭を弄くり、ステージの反対側を見た。
少年と同じように、肉奴隷を引っ張ってくるのは、彼と違って大人の獣人だった。
まだ反抗的な面を残し、ちゃんと調教が完了しているか疑われるような、ハッキリとした目つきを残す、獅子の奴隷を連れていた。
反抗して噛む事があるのだろうか、口輪が嵌められ、半開きで固定された口から、涎を垂らし続けている。
その獅子を連れているのは、初老に差し掛かる頃に見える、熊の男だった。歩くたびに太鼓腹を揺らしながら、ステージの上へとやってくる。
両者がステージへと立つと、観客がざわめき、スタッフが競技に使う道具を持ってくる。
「へぇー」
猫の少年が、感心したように尻尾を揺らしながら声を漏らした。ワイヤーで後部を繋がれた、二本のバイブが用意されている。しかも大きな上にイボイボで、尻の拡張が住んでいない肉奴隷では、入れるだけで気絶しそうだ。
そんなものを入れられて悶える赤竜を見たら面白そうだなと、少年は笑顔を作りながら、自分の足元で丸まっている奴隷を眺めた。
準備が終わると、スタッフに呼びかけられ、ステージの中央へと歩いていく。イボイボのバイブが目に留まったのか、歩く内に赤竜の息が上がり、股間のスリットから、にゅるっと勃起したペニスが飛び出した。
気が早いなー、と少年は呆れたように言いながら、相手になる初老の熊と、奴隷の獅子を眺めた。
近づくほど、この獅子がまだ正気を保っていて、周囲へと憎しみの視線を向けているのが分かった。確かにほっといたら噛み付いてきそうだなと思いながら、少年は赤竜に尻を上げて四つん這いになるよう命じた。
熊獣人も、獅子の耳元へと何かを囁き、そして獅子は、血が出るほど強く握り拳を作りながら、赤竜と同様のポーズをとる。
その屈辱感と絶望感に満ちた表情を見ながら、少年は「僕もあんなの欲しいなー」となんとは無しに呟く。
この競技に赤竜が勝てば、あの獅子は自分のものだ。嬉しそうに耳をピクピク動かしながら、少年も赤竜の顔へと口を近づけ、命令する。
「いいか、絶対にバイブを放しちゃダメだぞ。負けたらおまえ、もう馬小屋に入れて貰えないぞ」
赤竜の目が、一瞬だけ見開き、過去の精悍な姿の面影をちらつかせた。だが、直ぐにそれも姿を潜め、あの快感をもう味わえないという暗示に支配されていた。
最近はこうした、暗示に掛かり易いように調教された奴隷が人気になっている。子供でも頭を使わずに従わせられるというのは、奴隷が値下がりし続けている今、重要なセールスポイントだった。
あの奴隷が手に入ったら、どうやってあんな表情をさせるのか、熊のおじいさんに聞かないと。少年は気のいいおじいさんが、秘密を教えてくれるのを想像しながら、スタッフが赤竜と獅子の肛門にバイブを挿すのを見詰める。
獅子も体の開発はかなり進んでいるようで、口から甘ったるい嬌声が漏れるのを、敏感な猫の耳が拾った。
少年は面白そうに獅子を見ながら、後ろへと下がっていく。少年と熊がある程度離れると、綱引きが開始された。
「あひ、ひぁああっ……!」
いつもはほとんど声を出さない赤竜が、これでもかと嬌声を発しながら、バイブを締め付けている。
観客の方も、その様子を見ながら固唾を呑んでいた。ルールは簡単、尻からバイブが抜けてしまった方の負けである。
あの感じ方を見ると、赤竜の振りにも見えるが、無言で堪えている獅子も、かなり危ないように見えた。
全身から汗を噴出し、毛皮をべっとりと濡らし、その筋肉を浮き上がらせながら、半開きの獅子の口から、呟きが漏れる。
赤竜が身を震わせながら体をのけぞらせ、それに合わせてズズッとバイブを引き抜かれそうになりながら、獅子の口から、再度何かの呟きが零れる。
人の名前にも思えるそれを繰り返しながら、獅子は、殺意の塊のような眼光を、自分の持ち主である熊へと向け、そして持てる限りの力でバイブを締め付ける。
「ひゃ、あが、ひあっ……!」
――ビュクッ、ビュルルウッ!
その引っ張りに、赤竜が甲高い嬌声を上げながら吐精する。だが、それでも痙攣を続ける肛門はバイブを離さず、獅子と赤竜の肛門を繋ぐワイヤーは、ピンと張っている。
思った以上に苦戦しているのを見て、そして、それ以上に鬼気迫る表情で、泣きながらバイブを締め付ける獅子を見て、少年は昂ぶった様子で股間にテントを作りながら、その綱引きを見詰め続けた。
「んんぐぅうう! ぐううう!!」
やがて、獅子が半開きの口から呻きのような声を漏らしながら、ステージの床に爪を立てて体を強引に引っ張る。
その勢いに再度射精しながら、赤竜の体が四つん這いのままズルズルと引っ張られ、やがては赤竜を脱肛させるかのように腸の内壁を引きずり出しながら、バイブが抜けてしまった。
「ええー!」
少年が不満げに口を尖らせる。赤竜はというと、最早何も聞こえない様子で、ステージに突っ伏しながら、脱肛した肛門から赤黒い直腸を露出させ、ぐへへ、と下品な笑い声を漏らしている。
上等だと思ってたのに、と、少年は残念そうに、相手の獅子を見詰めた。
綱引きが終わって気が抜けたのか、腰が抜けて立ち上がる事もできない様子で、脱力した下半身を床につけ、荒い呼吸を繰り返しながら涎を垂らしていた。
なんだかこのままじゃ悔しいなと、少年がイタズラっぽい笑みを浮かべながら、赤竜の肛門から抜けたバイブを掴み、思い切り引っ張ると、獅子の肛門からもバイブが抜き放たれた。
「んがぁあああうっ!??」
その衝撃に獅子は悲しげな咆哮をあげ、下半身をビクビク震わせながら、射精をしてしまう。
じとーっと見詰めてくる初老の熊に、「ごめんなさい」と頭を下げると、彼は笑顔を作って「気にするな」と言った。
なんだ結構いい人だなと思いながら、少年は赤竜の首輪に鎖を繋ぎなおし、赤竜の新しい持ち主である熊へと、それを渡した。
「ねえ、おじいさん、そのライオンって、どうやってそんな必死にさせてるの?」
そして、同時にずっと気になっていた質問をぶつける。熊は優しげな笑みを浮かべながら「こいつ息子はまだ調教してないんだ」と答えた。
『ああ、人質か』と納得した表情を見せながら、少年は熊に手を振りながら、機嫌良さそうに退場していく。早く家に帰ってお父さんにおねだりしよう。次は、調教があんまり済んでなくて、子供がセットのがいいって。
終
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