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【グロ】レオシリーズ スライムに侵食される by 森谷
いつものようにSS書いていただいてます。
スライム姦 脳姦 達磨 悪堕ち グロ
性描写がほぼ無いので注意 だそうです。
written by もけ
四方を石造りの壁に覆われ、出口さえも存在せぬ部屋の中で、レオは透明の粘液の塊へと向けて、剣を構えていた。
液状の体をうねらせるその塊を、スライムとでも形容すべきであろうか。対峙するレオと同程度の大きさをもったそれは、液状の体から、その一部を触手のように伸ばして彼の体を絡め取ろうとする。
彼とて、自分に向けて伸ばされた触手を叩き切る程度の事は出来たが、相手は元が粘液だ。切り伏せ飛び散らせたところで、すぐに寄り集まって復元してしまう。
逃げ場の無い空間で、倒す事も適わぬ敵との戦うレオの表情には、肉体以上に精神面での疲れが浮かんでいた。効果すら確認できぬまま続く戦いは、確実に彼を消耗させている。
レオは、このいつ終わるとも知れぬ戦いにほとほと疲れ果てていた。スライムの体から伸び、自身へと向かってくる数本の触手を切り伏せ、後退りをしながら、彼の視線は自らを閉じ込める壁へと向いた。
いくら切り伏せても意味の無いスライムと違い、これなら切り崩す事も可能ではと、現状を打破する求めて、一瞬だけ考え込む。
すぐさま次の触手が伸びてくる。ゆっくりと考える余裕など無かった。レオは姿勢を低くして触手を避けると、伸びきったそれを切り上げ、その勢いのまま剣を壁へと叩き付けた。
鋭い斬撃で壁を切り崩す事が彼の考えであったが、その考えを実行するには、もう遅すぎたようであった。
――キィィンッ!
壁へと叩きつけられた剣は、その中ほどからぽっきりと折れて、刃は澄んだ金属音を発しながら宙を舞い、床へと落ちて、からんと音を立てた。
数多くの敵を切り伏せてきた剣が容易く破損したことに、レオは驚愕の表情を浮かべる。そうして出来た一瞬の隙を、やすやすと逃してくれる敵でもなかった。
「ぐっ、あぁ!?」
長く伸びた触手の先端が、レオの右足へと突き立てられた。鋭く硬化した先端がブーツを貫き、右足を貫通して床へと突き刺さっている。足を縫いとめられ身動きの出来ぬ彼へと、今度は触手ではなくスライムの本体が飛び掛かっていた。
自分と同等もある粘液の塊へと向けて、レオは折れた剣を振るうが、その刃はスライムの中に飲み込まれ、その体を両断する事もなく通過していた。
水を切り裂くような味気ない感触を覚えた後、スライムの体を通過した剣を見ると、その刀身が腐食したように崩れかけていた。石壁を切り崩すどころか、剣の方が折れてしまった理由はこれのようだ。スライムが伸ばす触手を切るうちに、刃が脆くなっていたらしい。
「くぅ……ッ」
剣をも溶かすようなスライムが体を包めば、どうなってしまうか考えたくも無い。なんとかして右足の拘束を解き、向かってくるスライムから避けなくては。
レオは次に、刀身の3分の2ほどを失い脆く腐食した剣を、自分の足を貫く触手へと振り下ろした。こちらなら両断する事は可能だ。
壊れた剣を振るうと、今度は思い通りに触手を断ち切る事が出来た。レオの考え通りに行かなかったのは、そこからである。傷ついた右足を引き摺り身を引こうとした瞬間、触手に貫かれた右足の甲から、冷たい感触が拡がった。
血管へと氷水を流し込まれたような感覚に、レオは身震いをする。なんとか身を引いてスライムの塊の突進を避けたが、右足が震えて尻餅をついていた。見れば、触手が形を変えて右の足先を包み、ブーツに開いた穴から流れ込む。
「なっ!?」
スライムに包まれたブーツが、シューシューと音を立てて溶けて行く。だが、それよりもレオは、露わになった自らの足を見て驚愕の声を上げていた。彼の右足は、まるで死体のそれのように青ざめている。レオの肌とは似ても似つかぬ色合いであった。
そして、それよりもレオを焦らせたのは、触手に貫かれた足の甲にぽっかりと空いた穴から、スライムが彼の足の内部へと流れ込んでいる事であった。それに伴い、氷水の感触が足首にまで上がってくる。体を侵食される恐怖を感じ、レオはすぐさま行動していた。
「ふんッ!」
壊れた剣を、迷う事無く自分の足へと振り下ろす。だが、もはや彼の剣には骨を断つほどの切れ味など残っていない。生々しい音を立てて肉を裂くが、刃は骨に当たって止まり、それ以上進まなかった
傷口から血が吹き出る。血管を侵食したスライムに追い出され、体外へと排出されているようでもあった。レオは狼狽した様子で獅子の面を引き攣らせる。立ち上がろうにも、スライムに侵された右足に力が入らず、それすら難しい。
そして立ち上がる事もままならぬ有様の彼を、敵が狙わないはずも無かった。スライムの塊が、レオへと向けて突進する。先ほどは間一髪避けることが出来たが、今回はそれも不可能だ。投げ出された両脚を粘液が包み込む。ついに彼は、その体を捕らえられてしまった。
「こ、やつ……! 我が身体を……!?」
スライムが足の表皮を突き破り、体内へと侵入してくるのを感じ、レオは戦慄したように呻いた。一瞬の激痛に身体を震わせると、程なくして両脚の感覚が失われ始める。その身を蝕まれ奪われてゆく恐怖は、彼を持ってしても耐え切れぬものがあった。
レオは恐怖から目を見開き、剣を杖のように使いながら、今だ完全に支配されていない左足で地面を蹴る。足を包み込むスライムを多少振り払えはしたが、彼の両脚は既に青ざめ、その侵食の度合いを物語っていた。事実、彼の脚はその挙動を最後に、動きを止めてしまう。
「脚が……ッ!?」
立ち尽くした状態で脚が動かなくなっていた。レオがどんなに意識しようが、もはや両脚には一切の感覚がなく、その場に立った状態で硬直したように動きを止めている。
脚の異変に彼が戸惑っていると、今度は顔へと向けて、スライムの本体から触手が伸びる。左手の盾でなんとか防ぐが、盾に激突し飛び散ったスライムは、彼の腕や肩へと降り注いだ。ひやりとした感触に、背筋がぞわりと震える。
「ぐっあぁ……!!」
触手が飛び掛るのは顔だけではない。今度は股間へとひやりとした感触を感じ、レオが呻く。腰へとへばりついた粘液が、尻や陰部を隠す腰布を溶かしていた。スライムは、露わになったレオの性器を包み込むと、その鈴口から彼の体内へと侵入を始める。
氷水が尿道から流れ込む感覚に、レオは震えながら声を上げた。動く事も無くなった足へと、再度スライムの本体がにじり寄り、侵食を再開する。
「くっ、この……程度……ッ」
苦しげにレオが言葉を吐く。しかし、もはやそれは強がりですらなかった。両脚どころか、今や下半身の感覚までが消え失せようとしている。冷たさも痛みも快楽も無く、ただ感覚の全てを消えさってゆく、言い知れぬ喪失感があった。
見れば、足を包み込むスライムの本体から再度触手が伸び、彼の肛門から体内へと流れ込んでいる。スライムに侵食された肛門は弛緩し、大口を開けて侵入を受け入れていた。
流れ込んでくるスライムが腹の内側で何をしているかは分らなかったが、腹の中で何かが弾けるような痛みと感触を覚えた後、下腹部がぷっくりと膨らみだす。
さらには尿道から流れ込んだスライムが、レオの玉袋を異常なほどに肥大化させている。まるで風船に水を流し込むかのように肥大化してゆく睾丸に、レオは吐き気さえ覚えた。
今にも千切れそうなほど重々しく股間から垂れ下がる玉袋を、脚に纏わりついていたスライムが優しく受け止め、両脚と同様に包み込む玉袋を這い登るスライムが、その表面にぷつぷつと穴を空け中に流れ込んでゆく。
レオは言葉を発する事も出来ぬまま、それを眺める事しか出来なかった。だが、侵食は何もそこからだけ行われているわけでもない。
「がっ!!?」
不意に強烈な痛みを感じてレオが悲鳴を上げる。盾にへばりついたスライムが、彼の指へと伸びていた。指と爪の隙間を抉じ開け、そこから彼の手の中へと侵食を始める。右の肩と二の腕に落ちた粘液も同様に、レオの肌に穴を空け、その内側へと潜り込んで行った。
最初の一瞬受ける激痛に悶えると、後はスライムに入り込まれた箇所から、徐々に青白く変色し、感覚が失われてゆく。レオは唯一動かす事の適う胴体をねじり、身体を激しく揺さぶってスライムから逃れようとするが、もはや体内へと侵入したものはどうしようもなかった。
失われてゆく四肢の感触に戦慄しながら、死体のように冷たく体温を失っていく身体を見る。いよいよ自分が助かるという希望を抱く事が出来なくなっていた。
目尻に涙を浮かべながら、レオは悔しげに呻く。もはや腕も脚も動かない。スライムに満たされた腹は膨らみ、臓器を圧迫され感覚に吐き気を覚え、何度も声を漏らした。
やがて、限界まで膨らまされた袋から、不穏な音が鳴り始めた。ミチミチと体組織を引き伸ばされる生々しい音である。そして、レオの不安は当たっていた。程なくしてレオの玉袋が弾け、いびつに肥大化した睾丸が露わになる。
肥大化した睾丸から生成された大量の精液がスライムへと降り注ぎ、スライムはその白濁色と混ざり合ってゆく。レオの情報を取り入れることで、知性すら無いアメーバーの如き生物に、何かの変化が起こっているようであった。
「ぐっ、なに……を……」
スライムの本体から四本の触手が延びる。次は何をするつもりなのかと、レオは獅子の丸い耳を伏せ、怯えを隠す事も出来ずにマズルへと皺を寄せていた。
触手はレオの四肢それぞれの付け根へと絡みつき、鋭く締め上げる。スライムは刃物のように鋭くレオの身体へと食い込んでいた。脚は既に感覚を失っており、痛みは無い。だが、両肩は今だ侵食されきっておらず、痛覚も残っていた。筋骨隆々たる両肩から血飛沫が吹き上がる。
「がっ、あぁああっ!!?」
両腕を切られると同時に、表面を焼かれるような熱を感じ、レオは悲鳴を上げながら目を見開く。だが、やがてその痛みも恍惚とした熱へと変わり、やがては一切の感覚を失われ、何も感じなくなってゆく。
恐怖と伴う強烈な喪失感に、レオがついに涙を零した。それと同時に、ついに四肢が完全に切断され、達磨と化したレオの身体が床へと投げ出される。手足を失った身体で受身を取れるはずも無く、鼻面を床に打ち付け、床と激突した反動で仰向けにひっくり返った。
ほとんど胸周りまでが変色し、四肢の断面は火傷のように爛れ、さらには破れた玉袋が歪な形に肥大化した睾丸に被さっていた。哀れとしか言えぬ有様のレオを見下ろしながら、スライムはレオから奪い取った四肢をとり入れ、レオの姿形を模していた。
レオは身動きすらも出来ないまま、スライムが自分の形を真似る様子を見せ付けられる。自らを信じてくれる国の民たちのために使うべき身体を、下衆なスライムに奪われたという事実が、何よりも屈辱であった。
やがてスライムは、大よそ人に似た形をとると、レオから奪った脚で地面を歩き、彼の傍へと歩み寄る。そして脚と同様に奪った右腕を彼の顔へと伸ばし、獅子の鬣を掴んで彼の体を持ち上げた。
「くっ……」
奪った四肢を己の物のように使う様子を眺め、レオは忌々しげに牙を剥き唸り声を上げた。だが、スライムが相手では表情すらも読み取る事が出来ない。頭の部分はレオと同じ獅子を模しているが、その透明な獅子の顔に表情などは無い。
レオから様々な物を奪ったそれは、更に次のものを求めて、体から一本の触手を伸ばす。今までレオの身体を攻撃してきたものと違い、随分と細く、またどこか生物的な肉感を放っていた。その触手はレオの顔へと絡みつき、そのマズルや額を這い回ると、やがて彼の右耳へと行き着いた。
強烈な不安感に襲われるが、もはや胴体の大部分も侵食され、動かせるのは顔程度であった。口を動かすが、腹部を膨らませているスライムに肺をはじめとした臓器が圧迫されているせいか、短い呻き声しか発する事が出来ない。
ぬめぬめとした触手は、丸い獅子の耳へとねっとり絡みつき、やがて細い先端が、その内部へと入り込む。耳から挿し込まれた触手は、まるで探索でもしているかのように、レオの頭の中を蠢いた。脳の表面を触手が這いずる。痛みも感触も無いが、ただひたすら激しい吐き気に襲われた。
「ぐッ……、あッ……、うぐっ……」
触手が頭蓋の表面へとまわり、そこを這いずる様子が、レオの額に浮かび上がる。顔を引き攣らせながら間の抜けた声を漏らし、口から涎を零す。まるで正気を失ったような表情だ。
レオの頭の中を這い回った触手は、やがて彼の右眼孔からその先端を表した。眼球を撫でるようにうねうねと動き続けると、少しずつレオの右目が青みを帯びてゆく。レオの身体をそうしたように、頭へも侵食が始まっていた。
右耳からするすると触手が引き抜かれ、頭の中を這いずり回るものはなくなるが、それでも彼は口をぽかんと開け涎を垂らしたまま、顔を引き攣らせていた。
ゆっくりと、しかし確実に、レオの脳は侵食され、同時にその首までが青白い死体の色へと変色する。不恰好に膨らんだ腹に溜まっていた粘液は、レオの胴体に行き渡り、その身体を完全に奪っていた。
もはや身体の感覚は完全に無くなり、思考すらも蝕まれ続けている。己の存在を感じることが出来なくなっていた。自分がこの世から跡形も無く消え去ってしまうような心地がして、耐え切れないような恐怖を感じる。
「あっ、ぎっ……、がっあぁ……ッ」
レオは顔を引き攣らせながら、意味も成さぬ呻き声を漏らす。既にその両眼は元とは別の色に染め上げられていた。後はそう長くも掛からないと、スライムの方もどこか感じ取ったらしく、レオを取り込むべく最後の仕上げに掛かっていた。
レオの鬣を掴みその身体を吊るしている、彼自身の右腕を、スライムが伝ってゆく。透明の粘液がレオの頭へと流れてゆき、その耳から、両眼を押し潰して眼孔から、鼻の穴から、レオの頭部へと流れ込んでいった。
レオの顔を薄くコーティングするかの様に透明の粘液が覆っていた。顔中のあらゆる穴から粘液が流れ込み、ついには頭の中までもそれに満たされてしまう。その容赦の無い侵食を受けながら、レオの脳裏には己の使命や悲願、そして国の民たちの声、自分のために犠牲になった者たちの姿が、走馬灯のように浮かんでいた。
果たす事の出来なかった誓いに、レオは絶望すら抱く。だが、その心までもが侵食されるてゆくほどに、激情は消え去り、頭の中までも静かになっていくのを感じた。心の奥に燃え滾る炎が、消火されてゆく。体と同様に、頭の感覚が消え失せていった。怒りも悲しみも希望も失くしてゆく。記憶を維持しながらも、一切の感情と言うものが失われていくのだ。
レオも最初はその感覚に戦慄したが、すぐに恐怖も頭の中から消えてしまった。そうして一つずつ感情を失ってゆき、ついにレオはその全身を完全に奪われてしまう。引き攣っていた顔には、もはや何の表情も浮かんでは居ない。
スライムはレオの両腕を使って、彼の体を抱くようにしながら、胴体と頭を自らの内に飲み込んでゆく。レオはスライムの身体に取り込まれながら、自分はどうなるのだろうかと、感情を失った頭で考える。
体感覚は無く、感情も存在せず、眼も見えなければ音も聞こえない。考えたところで何も解決しなかった。そして彼は、それに付いて何も思わなかった。考えるべき事も見当たらず、レオは――レオだった物は、思考を停止した。やがて意識が途切れる瞬間まで、彼は何も考える事無く、ただの物になっていた。
×××
途切れた意識が再開する。音が聞こえた。物を見ることも出来る。だが、それ以外の感覚は無い。彼は透明の四本の脚で、部屋の中をぐるりと歩き、自分が何をすべきなのか考えた。
部屋は、意識が途切れる以前とは別の場所らしかった。床に描かれた魔方陣や壁の紋様などを見れば、以前の記憶と照らし合わせて、そこが何か魔術的ことを行う場であると分かる。
遠くで合戦の音がした。彼は、かつて王として魔と戦ってきた頃の記憶を思い返し、自らの国が襲われたときと同様に、人々が脅かされていると理解した。
そう気付くと、彼は刻み付けられた本能へと忠実に従った。木製の扉を突き破って外へと出ると、音の方向を目指す。
人々の敵という化け物の本分を、彼は何の疑問も抱かず受け入れ、新しく与えられた使命を果たすべく駆けて行く。今の身体は、前よりも早く走る事が出来た。
かつてのレオから変質した姿であったが、もはや外見も中身も、以前とは完全に別のものである。液状の物質で形作られた獅子は、魔の本能に従い、全ての人々を相手に牙を剥いていた。
終
【グロ】レオシリーズ 虫姦 苗床・脳姦される王様 by森谷
1枚目の絵に、もけ氏がSSを書いてくれたので、2枚目と3枚目が出来上がった。……と思う。
※挿絵3枚です。「挿絵表示」をクリックしてください。
※グロテスクな表現を含みます(幼虫・皮下侵食・脳姦・流血)。ご注意ください。
written by もけ
日はどっぷりと沈み、月明かりも届かぬ森の中は暗闇に包まれている。レオはその闇の中、木の幹に背中を預けて座り込み、しばしの休息をとっていた。
この森に入ってから既に数日が経っている。
そこは、亜熱帯のような蒸し暑さに包まれ、獣の如き大きさを持ちグロテスクな外見をした蟲たちが潜む森であった。世界を包む悪しき異変の一環であろうか、まるで異世界にでも来たように、彼の知る森とは違った景色ばかりが目に映る。
「くぅ……」
レオは苦々しげに声を漏らした。一刻も早く呪いの元凶を打ち破るための旅だと言うのに、この森の中で何日時間を費やしたか分からない。また、全身を包むじっとりとした暑さも、酷く不快であった。
体中から汗が噴き出し、獅子の顔を覆う毛皮も僅かに湿っている。タテガミが暑苦しくて、今すぐ自らの剣で剃り上げてしまいたくなってしまう。腰布もそうだ。汗で湿り、股間が蒸れて仕方が無い。
襲い掛かる異形の蟲を切り伏せる事は出来ても、環境による不快感はどうしようもなかった。レオは剣と盾を傍に置き、しばらくの間そうして休息を取っていたが、やがて我慢できなくなったらしい。
もぞもぞと腰を浮かして、腰布に手をかける。ベルトから布を外し、するすると脱ぐ。ブーツの方も同様に脱ぎ捨てた。
「む……」
レオは僅かに顔を顰め、眉間とマズルに皺を寄せる。蒸れた股間や足から発せられる臭いは、当然であるが良い香りとは言えないものであった。
旅の中、自らの体臭が気に掛かる場面は多いが、四六時中絶えず噴き出す汗に悩まされるこの森では、それもなおさらである。雨でも降ってくれれば良いのだが、木々の間に覗く空は、半分に割れた月を覗かせたままである。今は晴れているらしい。
レオは小さく溜息を吐くと、股を開き、露わになったペニスと玉袋を外気に晒す。性器を撫でてゆく湿った風は、決して涼しくなどなかったが、湿った腰布に包まれて蒸れているよりも、幾らかは快適であった。
これでようやく休息をとった気になれる。木の幹に身を預け、覚醒とも睡眠ともつかぬ状態を維持して体を休める。いつ襲われるかも分からないのだから、完全に眠ってしまう事は出来なかった。
慎重に、頭の半分を眠らせながら、獣の感性を研ぎ澄ます。それは皮肉にも、呪いを受け半獣の体になったからこそ出来る技であった。
その状態のまま時間が過ぎ、空が僅かに明るみを取り戻してきた頃、レオは不意に瞼を開き、傍らに置いた剣を握ると、すぐさまそれを構える。
茂みを揺らし、地面に落ちた枯葉を踏みしめて、何かが動く音が聞こえた。近い。
獅子の頭から生えた丸い耳がピクピクと動き、その音へと意識を傾ける。
「奴か……ッ」
聞き覚えのある足音に、レオは剣を構えながら呟いた。地面に置いたままの腰布と盾をちらりと見るが、それを身に着けている余裕はなさそうである。
足音は、真っ直ぐ彼の方を目指していた。全身から噴き出す汗で濃くなった体臭は、時折り肉食の蟲を呼び寄せた。今近づいている足音も、そのうちの一つである。
――ガサッ
目の前の茂みが揺れた。1メートルを越える体長を持った甲虫が、真っ直ぐ彼へと突き進んでくる。蟲らしからぬ巨体を持ちながら、かさかさと素早く動いた。黒光りする甲殻を揺らし、肉食の蟲らしい強靭な顎をカチカチと鳴らしている。
この森に入ってから、何度か出くわしている蟲であった。硬い甲殻を持つが、甲殻の継ぎ目を狙えば意外なほどあっさりと両断する事が出来る。
「仕方あるまい……!」
レオは盾と腰布を捨て置くと、自分へと向けて飛び掛ってくる虫へと剣を向けた。素早く動き、隙あらば肉を噛み千切ろうと、強靭な顎を向けてくる甲虫を、剣の一振りで鋭く薙ぎ払う。
刃が甲殻に受け止められる硬い音が響く。甲虫は数メートルも弾き飛ばされるが、その甲殻には薄く傷がついた程度である。やはり継ぎ目を狙わねば切り裂く事は出来ないようだと、レオが苦々しげな表情を浮かべた。
体勢を立て直した甲虫は、間を置かないまま再びレオへと突進する。今度は慎重に狙いを定め、甲虫の突進を紙一重に避けながら頭と体の甲殻の継ぎ目へと剣を振り下ろす。
ずん、と先ほどとは違っ手応えを感じ、甲虫の頭が宙を舞い、体の方は痙攣を繰り返しながらひっくり返り、やがては動きを止めた。レオは安心した様子で小さく息を吐く。だが、気を取り直して盾や衣服を身に着ける時間は無かった。
彼の聴覚は、また新しい足音が近づくのを感じ取っていた。今倒したものと同じ甲虫である。ここもそろそろ危ないようだ。充分に体を休める事は出来たのだし、そろそろ潮時だろう。
次の甲虫を倒したら、体液の臭いに惹かれて他の蟲が集まらぬうちに逃げなくてはならない。レオは足音へと向けて剣を構えながら、そう考えた。本当に苦労の絶えない森だ。
「来る……ッ」
木々の間を掻き分けて進む甲虫を見つけ、レオは呟く。先ほどのものよりも二回りほど大きかった。力も強そうではあるが、さっきの甲虫と同じように自分へと突進してくる姿を見て、レオはホッとしたような仕草を見せた。
体は大きくとも行動が単純で読みやすい。これならば、一度に数匹が来たとしても倒す事は出来そうだ。目前へと迫った甲虫を、やはりレオは軽々と避けてみせる。
「はぁっ!!」
通り過ぎてゆく甲虫の足を狙い剣を振るうと、節ばった蟲の脚が数本千切れ飛び、足を失った甲虫は動きを止め、地面の上でもがいていた。レオは動きを止めた甲虫へと歩み寄り、最初のものと同様に、その頭を刎ねる。
甲虫はしばらく痙攣を続けたあと、残った脚を丸めて動きを止めた。他の足音も聞こえない。ひとまずはこれで大丈夫な筈だろう。
いつまでも裸同然の姿でいるのもどうかと考え、木の根元に置いたままの腰布とブーツを取りに足を踏み出す。だが――
「なっ……?」
膝の力が抜け、レオはその場に尻餅をついた。地面に転がる枝の破片が、尻をチクチクと刺激する。
この暑さの中、連日に亘って歩き続けていた疲れが今さらになって出てきたのかと、レオは少し焦ったような表情を作った。だとすれば、さっきのような甲虫がまた襲ってきたとして、上手く退ける事が出来る保障も無い。
そう考えると、蒸し暑い森の中にいるはずが、背筋にひやりとした寒気を感じずにはいられなかった。しかし、状況は彼が予想したものよりも、さらに悪かったらしい。
レオは地面に剣を突き刺し、杖のようにして体を支えながら起き上がろうとするが、足が小さく震え、上手く力を入れることが出来ない。レオの表情には、より一層の焦燥感が表れていた。
これほどの症状を疲れの一言で片付けることは、流石に出来ない。いったい何があったのかと、レオはきょろきょろと視線を動かすと、自らの足首にへばりついた何かが、うねうねと蠢いているのを見つけた。
「これは……?」
紺色をした大きなナマコのような生き物である。大きさもそれぐらいであろうか。レオの足首にぴたりと吸い付いたまま、その体を小さく動かしている。レオはその小蟲へと手を伸ばし、自分の足から引き剥がそうとするが、強く吸い付いているらしく、中々剥がれない。
それでも強く引っ張り続けると、やがて幼虫の体が、ブチッと音を立てて千切れ、その体から赤い鮮血が噴き出す。
血を吸われていた。それも相当の量だ。これだけ血を吸った蟲が足首にぶら下がっていたのに、それに気が付かなかったという事実も、レオを焦らせた。
こういった類の、生物の血を吸う蟲は、吸血の前に自らの体液を流し込み、相手の感覚を麻痺させるという。脚から力が抜け立っていられなくなったのも、この蟲の毒によってであろうと、レオは考えた。
だが、それにしても強力すぎる作用だと、彼は忌々しげに牙を剥く。
体感覚どころか、体を動かす事にまで支障が出ている。これではすぐに気付かれてしまうではないか。現にレオは足首に吸い付いていた蟲を握りつぶした。
では、なぜこうして動きを封じたのか。……獲物を逃がさないために決まっている。レオは、険しい表情で剣を手に取り、周囲を眺めた。さっき潰したのと同じ蟲が数匹、地面を這っている。それを目で辿ると、レオが首を刎ねた、あの甲虫の亡骸が見えた。
どうやら宿主の命が尽きた事で、より新鮮な獲物を求めて表に這い出てきたらしい。
襲い掛かる巨大な甲虫たちよりも、小さな蟲を相手に脅威を感じる事になるとは、思ってもみなかった。レオは、足元ににじり寄る蟲へと、睨みつけ、剣を持ち上げようとする。
だが、すでに上半身の方にまで痺れが回ったのか、剣が酷く重たく感じられ、持ち上げる事が出来なくなっていた。レオは、焦りを隠すことが出来ずに唸り声を出す。マズルと眉間に皺をよせ、獣が威嚇するような咆哮を上げた。
だが、知能すら持たぬ蟲が、それで竦むはずもない。紺色の蟲が足へと這い上がってくるのを、レオは何の抵抗も出来ずに眺めるしかなかった。
今度は右の脛辺りで、蟲がレオの肌に吸い付いた。粘液にぬめった蟲が脚を這う感触も、皮膚を突き破られる痛みも無かったが、そうやって血が吸われていくのを何も出来ずに見ているのが、堪らなく不快であった。
「くっ……!」
忌々しげな表情を作りながらも、レオは震える腕を蟲へと向けて伸ばす。剣を振ることも出来ないのなら、せめて先ほどのように引き千切ってでも蟲を取り払わなければ。
数匹の蟲が、彼の体へと向けて今も地面を這い進んでいる。これ以上体に吸い付かれれば、それこそ身動きすら取れなくなる可能性もあった。一匹に噛まれただけで、全身の力が抜けてまともに動けなくなってしまうのだ。
脱力しそうになる体へと必死に力を込め、足に吸い付く蟲を引き剥がそうと手を伸ばす。だが、やはりその動作は緩慢だった。彼がもう少しで蟲を掴めそうなほどに手を伸ばしたとき、地面を這っていた虫たちは、すでに彼の両脚へとよじ登っていた。
腰布もブーツも身につけぬ今、体を守る物は腰のベルト程度である。うねうねと嫌悪感を抱かせる動きで、蟲は彼の太股へと這い上がり、ついには股間をも目指そうとしている。
その表面からは、まるで薄めた精液のような粘液が滲み出し、這った跡を濡らしていた。蟲たちは、筋肉で張り詰めたレオの太股や脚に辿り着くと、その口を大きく開ける。
地面を這っているときは、まるでナマコのような形状であるが、血を吸うために吸盤のような口を開くと、その内側にぶつぶつと肉色の隆起が見て取れた。数匹もの蟲たちは、一斉にレオの脚へと吸い付こうとする。寸前のところで、そのうちの一匹を右手で掴み取ることは出来たが、残りの蟲はどうにも出来なかった。
右手に掴んだ蟲は、その体を握り締められながら、「キィキィ」と奇妙な声を上げ、そして他の蟲たちは、一斉にレオの脚へピタリと張り付く。
挿絵表示
「がっ、はぁ……ッ!?」
血を吸い上げられる直前、さらに蟲の体液を注入され、レオが小さく震えて体を強張らせた。重ねて体液を流し込まれ、体に現れる効果が変化しているらしい。感覚を失い何も感じぬようになっていた足に、むずむずとした刺激が走る。
皮膚の上を指先でなぞられるようなむず痒い感触に、レオは小さく背筋を震わせた。だが、流し込まれた体液が体中へと行き渡るほど、その些細な刺激が、より強くなってゆく。痛みだけを遮断しながら、体感覚が際限なく敏感になってゆくようであった。
「いっ、ぎぃ、あぁあっ……!?」
蟲が両足に吸い付いて血液を吸い上げる感触が、性感帯を指先で撫でられるような、甘い感触へと変化してゆく。ついには、湿った空気が胸を撫でる感触に、体が反応してしまう。震える体を支えることができず、彼は仰向けに倒れた。
地面に落ちている枯葉や木の枝が背や尻を刺激して、レオは体を弓なりにしならせながら、再び悲鳴をあげる。体中が、これ以上無いほどに敏感な性感帯となっている。ちょっとした刺激が、耐えることのできぬ快感となって頭を焦がした。
気付けば、股間の男性器はこれ以上無いほどに勃起し、先走りを吹き出している。異形の蟲に血を吸われながら、そうして体が反応を示してしまうのが、よほど屈辱だったのか、レオはその表情をより引き攣らせ、マズルに険しく皺を寄せた。
思考さえもできなくなるほどの刺激に悶えながら、レオはそれでもなんとか耐え続ける。屈辱に顔を歪ませながら、なんとかこの責め苦から抜けだそうと、緩慢な動きでもがく。だが、体は脱力したかと思えば、逆に快感の刺激に強張っての繰り返しであった。麻痺した体はレオの意志で動かすことも出来ず、体を襲う刺激に反応するばかりだ。まるで蟲たちのマリオネットになったかのような、堪らなく情けない気分にさせられる。
だが、レオを襲う蟲は、まだそれだけではないらしかった。快感に悶え意識を飛ばしかけながらも、何かが地面に落ちる「ぼとり」と言う音を、敏感な獅子の耳が拾う。レオが目だけをそちらに向けると、そこにあったのはレオによって倒されたもう一匹の甲虫であった。
頭を刎ねられ、胴体にできた断面から、レオの血を吸っているものと同様の蟲が数匹這い出て、そして地面へと落ちていた。汗の匂いに釣られて、蟲たちはゆっくりとレオのもとへと這い寄る。すでに移動することさえできぬレオにとってみれば、それだけでも十分に脅威であるが、それよりも彼に焦燥を与えるものがあった。
「な……っ!?」
レオが掠れた声を漏らす。その目には、甲虫の腹が萎んでゆく様子が映されていた。そしてそれと同時に、彼の体に群がる蟲たちのよりも遥かに大きな芋虫のようなものが、甲虫の体液を滴らせながら、その死体から這い出る。
身動きできぬこの状況で、その巨大な芋虫を見れば、命の危険を感じずにはいられなかった。恐怖を隠すことができぬ様子で、レオの表情が引き攣る。多数の小蟲を引き連れながら、親玉のような芋虫の化物が、レオの体へと向けてにじり寄っていた。
巨大な芋虫は、緩慢な動きでレオへと近づき、付き従うように引き連れられていた数匹の蟲は、先にレオの体へと這い上がった。レオの体から放たれる強烈な雄の臭気に惹かれ、その汗ばんだ体へと吸い付く。
中でも、レオの股間近くを這い上がっていた蟲は、痛いほどに勃起したペニスから溢れる先走りの匂いに惹きつけられたらしい。その口を開き、レオのペニスを頭からズブズブと飲み込んでゆく。
「ひっ、ふっ、うぁっあぁ……!?」
レオが体をびくびくと痙攣させた。虫の体内には、無数のぶつぶつとした肉の突起が広がっており、まるで女性器のようにレオのペニスを包み込み、その上で吸い上げる。ただでさえ体の感度を極限まで高められ、過剰な快感にのたうっていたレオは、それこそ生娘のように声をあげるしかできなかった。
皮膚に吸い付き血を吸い出すような蟲が、ペニスを覆っているのだから、当然恐怖も強かったが、その恐怖を麻痺させるほどに凄まじい快感が、レオの背筋を走っていた。体を襲うちょっとした刺激にさえ耐えられぬというのに、性感帯への直接の刺激は、それこそレオの精神をも砕こうとするかのような強烈な衝撃である。
――びゅるうううっ
「ぎっ、ひぁ……ッ、あぁっ!?」
レオはその刺激に晒され、これまで感じたことも無いほどの快感を伴ない射精していた。ペニスを包む蟲は、溢れ出る精液を余さず吸い上げようとしているようであったが、蟲たちの体液の効果であろうか、普段では考えられない量の精液が、レオのペニスから溢れ出していた。
小蟲の大きさでは処理出来ぬ精液がちろちろとその口から溢れでて、レオの玉袋へと伝っていた。それでもペニスは萎えることなく、むしろより硬さを増して、絶えず続く快感に打ち震えている。
レオはもはや、口から漏れ出る声を抑えることも出来ず、体へと吸い付く蟲たちの刺激に、甲高い嬌声を上げて悶え続ける。目を見開き大口を開けて叫ぶ獅子の面には、恐怖の色も焦燥の色もなく、ただただ途方もない衝撃への驚愕ばかりが読み取れた。
身を包む強烈な刺激だけで頭がいっぱいになり、周囲の様子を気にする余裕すら、もう残ってはいない。レオの傍にまでやってきた巨大な芋虫が、その口と思しき部分を開き、一本の触手をするすると伸ばすが、それすら見えていないようであった。
その先端が肛門へと押し当てられたところで、レオは新たな刺激に体を大きく震わせ、異変に気づく。大芋虫の口から伸ばされた触手は、その先端がイソギンチャクのような形状をしており、小さな無数の触手と、小蟲たちのそれに似た口を携えていた。
先端から無数に生える細い触手が、固く閉じたレオの肛門へと滑り込み、粘液を馴染ませながら、そこを少しずつ緩ませてゆく。
「なっ、にを……!? ひぃっ、ひゃっ、がぁッ!?」
新たに加えられる刺激に、レオの体がまた震えていた。今まで排泄以外の目的で使ったこともなく、到底開発などされていないのであるが、感度を高められた今の状態では、そこも気持ち良くて堪らないようであった。
クチュクチュと小さな触手が入り口を解きほぐし、それと同時に、肛門へと押し当てられる力が強くなってゆく。触手から分泌される粘液の量も増えてゆき、やがて、レオの肛門は突然にその侵入を受け入れた。
「がぁっ!!?」
ずにゅりと触手が侵入すると同時に、レオが上ずった声で叫び、再度の射精を行ってしまう。やはり小蟲には呑みきれぬ量らしく、ペニスを包み込む蟲の口から、再度精液が漏れて玉袋を濡らした。
だが、挿入されただけでは触手の動きは止まらない。イソギンチャクのそれと似た細かい触手が、レオの腸内を掻き回し、その肉壁に粘液をすり込んでゆく。乾いていた腸内は、触手の粘液によってすっかり濡れそぼり、次のものを受け入れる準備を完了していた。
「……ッ!?」
異質な感触に、レオが声もなくうめく。腸内へと挿入された触手が不意に膨れ上がったように感じ、また別種の刺激に体が悶える。自分の尻がどうなっているのか見ようとするが、仰向けのまま起き上がることが出来ない。不安ばかりが募るが、それも強烈な快楽によってすぐに消し飛んだ。
大芋虫は、その口から伸ばす触手によって、レオの腸内へと卵を産み付けていた。無数の卵が触手にその形を浮かび上がらせながら、レオの腸内へと送られてゆく。おおよそレオの理解の範疇を超えた行為である。人を相手に卵を産み付ける巨大な蟲など、彼の頭の中の常識では想像もつかなかったし、そもそも思考を働かせられる状態でもなかった。
ごぷ、ごぷ、と音を立てながら、卵は次々にレオの腸内へと産み付けられてゆく。敏感になった腸内を卵が通過する感触に、レオはまた射精していた。もはやペニスは、蛇口の壊れた水道管のように、ちょっとした刺激で精液を放っている。肛門へと挿し込まれた触手から分泌される粘液により、レオの体はさらに感度を増しているようであった。
体中から汗が噴出し、辺りに漂う生臭い蟲たちの匂い以上に、自身の雄の匂いがレオの鼻をついた。もう何回射精したかもわからず、玉袋は精液で濡れている。その匂いは血の香以上に、蟲たちにとっての食欲を誘うものだったのだろうか、左の太ももに吸い付いていた一匹が、不意にレオの皮膚から口を離し、精液に濡れた玉袋へと這ってゆく。
「――ッ! ……ッ!」
玉袋へと食らいつかれるが、その衝撃に声をあげる余力も、今のレオには残っていないようであった。精液に濡れた玉袋へと小蟲が口をつけ、ペニスと同様に飲み込んでゆく。玉袋をゆっくりと覆ってゆく感触に、レオはひたすら体を痙攣させ、虚ろな目を宙へと向けていた。
蟲は玉袋を覆うと、そこに詰まった精液を吸い上げるまえに、やはり他と同じように体液を流し込む。玉袋の中の睾丸までもが、蟲の体液に直接晒され、異常な快感がレオの精神を削っていた。開いたままの口からヨダレが零れ落ちるのも、白痴のように間の抜けた喘ぎ声が漏れるのも止めることが出来ない。
卵は止まることなくレオの腸内へと送られ、腹筋の綺麗に割れた筋肉質な腹は、内側からの膨らみによって、どこか不恰好な肥満体のようになっている。腰に嵌められた鉄のベルトが、膨らんだ腹に食い込んでいた。
それでも大芋虫は産卵を続けていた。甲虫の体から這い出て来たときよりも、その体は一回り縮んでいるが、まだ大量の卵を体内に抱えているようであった。それをすべてレオの体内へと産み付けるまで、この行為は続く。
最初は僅かに肥満した程度にしか見えなかった腹は、卵を産み付けられるうちに膨らみ続け、腹筋の割れ目は完全に消え失せ、もはや妊婦としか思えぬ大きさにまで膨らんでいた。鉄のベルトはさらにレオの腰を締め付け、血流が止まり、ベルトの周りが青く腫れ上がっている。
もはや身動きすら取れず、浅い呼吸を繰り返すのがやっとというほどにレオを消耗させ、ようやく産卵は終わる。大きく膨らんだ腹を抱え、レオは朦朧とした意識のまま荒い息を繰り返していた。
腹の中を大量の卵で埋め尽くされ、相当量の血を吸われ、もはや死んでもおかしくないと思えてしまうほどの様子であったが、鍛え上げられたレオの体も、鋼の意志も、今だ壊れる気配を見せていない。
だが、壊れはしなくとも、もはや抵抗の余力は完全に奪われていた。自らの意思では指一本とて動かせぬレオから、大芋虫が触手を引き抜く。拡がりきった肛門から、卵が一つこぼれ落ちた。
触手はするすると芋虫の体内へと戻ってゆき、最初の半分ほどの大きさになったその体へ収納される。そして、触手の引っ込められた口の中から、今度はさらに別のものが這い出した。粘液を滴らせながら、レオの肛門へと向けて這うそれは、真っ白い蛆虫のような外見を持つ幼虫であった。
レオの体に吸い付く小蟲たちよりも一回り小さく、先端が細く大きな口もついていない。それはレオの体へとよじ登り、開いた肛門へと次々に潜り込んでゆく。レオの体内のさらに奥へと向かい、その深くで体液を吐き出して絶命する。
肛門に入りきらなかったものは、レオの体へと這い登り、穴を探してはそこへと潜り込もうとする。へその穴に群がり、さらにはレオの口にまで数匹の大蛆が侵入した。喉の奥へと進みながら、レオの口内で大蛆が弾け、体液を撒き散らす。その匂いには、レオも覚えがあった。
朦朧とする意識の中で、強烈な生臭さと青臭さが構内に拡がり、恍惚とした刺激に包まれていた彼の体へ、吐き気を催すような嫌悪感を与える。
彼が知るものより遥かに醜悪で、かつ悪臭を放っていたが、それは精液であった。
もはや体力も限界に達し、意識を失う間際であったレオは、ようやく自分が生殖の苗床として使われているのではと、うっすら感じた。だが、すべてはもう遅い。レオは体を包む刺激に悶えながら、ついにその意識を途切れさせた。
×××
レオは、うっすらとまぶたを開けた。仰向けに倒れたまま空を見上げる。木々の間に見える空は、分厚い雨雲に覆われ、激しいスコールがレオの体を打っていた。半開きのまま浅い呼吸を繰り返す口へと、雨水が流れ込んでくる。
むせ返りそうになるが、レオは舌を小さく動かし、口内へと流れ込んでくる雨水を飲み込んでゆく。相当量の血を吸われた挙句に、この蒸し暑い森の中、気を失った状態で長時間放置された体は、脱水症状に陥っていた。
「あぁ……」
低く掠れた声で、小さな呻き声を上げた。肺が圧迫されるような気分の悪さを覚え、声が上手く出ない。全身を激しい疲労感が包むと同時に、恍惚とした心地良さも同時に感じる。奇妙な感覚であった。
自分が何をしていたのか思い出そうとするが、思考にぼんやりとした霞がかかり、上手くいかない。レオはただ、口へと流れ込む雨水を味わい、喉を潤していた。やがて、いくらか回復した体は、強烈な眠気へと襲われ、彼の意識は再び深い眠りへと落ちていった。
×××
再度意識を取り戻したとき、雲は晴れ、木々の隙間からは日差しが降り注いでいた。だが、レオの意識を覚醒させたのは、照りつける光ではなく強烈な違和感であった。
体内で何か異質な存在が蠢くような、酷く不安で気持ち悪い感触が、彼の意識を叩き起こす。
「あ――、あ……?」
思うように声を放つことが出来ず、レオは戸惑うような声色で、小さな声を発した。少々記憶が混乱していたらしく、自分がなぜこうなっているのか、それを思い出すのに時間がかかってしまった。
彼はしばらくの間、混乱した表情を隠せずにいたが、やがてなんとか動かせるようになった首を上げ、自らの身体の異変をその目で確かめる。大きく膨らんだ腹や、太ももや胸に吸付いたまま、彼の皮膚と一体化している異形の蟲たちを見つめ、獅子の顔が嫌悪に歪んだ。身動きも取れぬまま卵を産み付けられ、快楽に呑まれながら気を失ったあの出来事が、鮮明に思い出される。
「これ……はっ!?」
レオは焦燥と恐怖に獅子の顔を歪ませながら、震える声を放つ。腹は、気を失う前よりもさらに膨らみ、体内を圧迫されるような異物感に、吐き気がしてたまらない。体と癒着した小蟲は、その毒々しい紺色の体とレオの肌を結合させ、まるで歪な腫瘍のように彼の体と地続きになっていた。
震える手をそれに伸ばし、引きちぎろうと掴むが、やはり思うように力が入らず、まるで女性の乳房を掴んで愛撫するかのように、軽く揉むような事しか出来ない。
体は重たく、まるで動かすことは出来ない。ある程度弱まってはいるが、それでも小蟲に注がれた毒の効果は続いているようだ。というよりも、レオの体と癒着した小蟲たちが、彼の体へと体液を循環させているらしかった。
手足を動かそうとすると、僅かばかりぴくぴくと指先が反応してみせるが、腕を持ち上げるにも相当の時間と忍耐を要する有様であった。こんな状態では、体と一体化した蟲を引き剥がすことも出来ない。
意識を覚醒させたものの、自らの身体の異変に対して打つ手もなく、レオはただ、その表情に焦燥を募らせることしかできなかった。時間ばかりが無為に流れ、やがて再度あの胎動が体を襲う。
「――あ?」
腹の中でまた何かが蠢いた。レオは間の抜けた声を上げ、その奇妙な感覚に体を震わせる。まるで妊婦を襲う陣痛のように、断続的にその感触を覚え、レオはより不安を強めていった。
卵を産み付けられたあの時から、一体どれだけの時間がかかったか、彼にもまるで検討がつかなかった。いくらか細くなった腕や、雨風に晒されて薄汚れた自身の体を見ると、そう短い時間でないことだけは分かった。
こういったとき、人とは最も最悪の事態を想定してしまうものである。レオもその例には漏れなかった。体内へ産み付けられた卵が、一斉に孵化しようとしているのではと推測し、冷たい汗が背中に流れる。
あんな怪物のような芋虫の卵が体内で孵化すればどうなるか、想像したくも無い事態である。レオはさらに焦りを強めた様子で、なんとかこの状況を打破する方法はないかと、思考を巡らせる。
しかし、いかに類まれな精神力を持つ彼とて、この状況で冷静な思考などできない。名案など浮かんでくるはずもなく、やはり時間ばかりが過ぎてゆく。腹の中から響く胎動が、まるで秒針のように時を刻んでいた。
やがて彼が導き出した答えは、結局入れられた穴から出すしかないというものであった。そもそも、これほどまでに膨らんだ腹の内容物を全て排泄できるはずもなかったが、焦燥と疲労で霞のかかった頭では、その程度の結論しか導き出すことはできなかった。
「ふっ……ッ、ん……ッ」
仰向けのまま、レオは獅子の顔を強ばらせ尻に力を込める。蟲たちの体液でろくに力も入らぬ体では、それすらも難しかったが、まるで便秘に苦しむ男が必死でそうするように、滑稽な姿を晒していた。
だが、彼がどんなに力を込め、腹の中の卵を排泄しようとしても、肛門を卵が通過する感触も、肛門が開く感触さえない。
「――ハァッ、はぁ……ッ」
強張った体に血管が浮かぶほどに、レオは力を込めてみせるが、その効果は何もない。ついにはそれも限界に達し、レオは大きく息を吐いた。何かがおかしいと、彼の頭も違和感を感じていた。
緩慢な動作で腰を浮かせながら、彼はそろりそろりと、右手を自らの尻へと伸ばす。指でこじ開けることができれば、なんとか卵を排泄できるかもしれないと言う望みもあったが、肛門の違和感の正体を確かめるという意味の方が強かった。
右手はゆっくりと彼自身の臀部へと伸ばされ、尻の割れ目に指先を潜り込ませ、肛門のあたりを人差し指で撫でる。
「なっ……」
指先の感触に、レオは目を見開いて驚愕を露にする。どんなに手を動かしても、彼の指先は肛門を確認することができなかった。代わりに感じたのは、肛門を覆い隠すような肉の隆起だけである。
彼の体と癒着し張り付いている蟲たちと同じように、彼の肛門は肉同士が癒着して歪な形状に盛り上がり、二度と開くことはなくなっていた。
これで、肛門から卵を排泄しようと言う望みは断たれた。他にはなんの考えも思い至っていなかった彼は、完全に追い詰められた様子で、全身から冷や汗を噴出し、その瞳には、これまでどんな目に遭おうと見えることのなかった、絶望の感情が垣間見えた。
――だが、彼がどんな手を考えついていようが、全てはもう手遅れのようである。レオの膨らんだ腹が、傍目からも分かるほどに、大きく震えた。
「ぐっ、あぁ……!?」
その不快感に、レオは掠れた声を上げ身震いをした。まるで示し合わせたかのように、腹の中で何かが一斉に動き出していた。痛みを感じることはないが、肉が引き伸ばされ今にも千切れそうになる生々しい感触が腹の中から伝わってくる。それが限界へと近づいていることが、彼にも分かった。
膨らんだ腹が、断続的に震えていた。そして、ついに彼の腹の中で、何かが弾ける。
「がぁっ!?」
奇妙な感覚に、レオは体をびくびくと痙攣させながら、上ずった悲鳴をあげる。どろりと、腹の中で何かが拡散してゆき、おぞましい寒気を感じながら、レオは自らの腹へと目を向ける。
へその辺りを内側から押されるような、慣れない感触を覚え、そこを凝視していると、蠢く何かが、彼のへそから頭を出す。細長い蛭のような外見の幼虫であった。それがニュルニュルとレオのへそから這い出している。
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自分の腹の中で育っていた卵の正体を知り、レオはその顔に浮かぶ焦燥を、より一層強めた。あれだけ大量に卵を産み付けられたあとだ。どれだけの数の幼虫が彼の体内で孵化したのか、想像することもできない。
そして、次なる異変が彼へと訪れる。幼虫はへそを通じてレオの体外に這い出すばかりではない。彼の頭を目指して、その体を這い登っていた。皮下を這い頭を目指す幼虫たちの姿が、レオの腹や胸に浮き上がっている。
痛みを感じない今の状態では、皮下で幼虫が蠢こうと、こそばゆい感触を受けるだけであるが、それは痛みに邪魔されることもなく、幼虫たちが自分の頭を目指して這い登る様子を感じなければならないということである。
「ぐっ、がぁあっ……!」
ぎこちない動きで自らの首や胸に手を伸ばし、体を這い登る幼虫たちを、皮膚の上から掻き毟ろうとするのだが、やはり頭からの命令が上手く体へ伝わらない。指先に力が入らず、表面をカリカリと爪で引っ掻くが、出血すらもなかった。
彼が虚しい抵抗を続ける内に、幼虫たちは胸を通り過ぎ、ついにレオの首まで辿り着いていた。そこからは人の皮膚よりも強靭な毛皮に包まれ、今の彼ではひっかき傷すらつけることができない。
「や、やめ……ろ……ッ」
何を事欠いたか、レオは知性すらも無い蟲たちに対して、そうして制止の声を放っていた。いよいよ極限まで追い詰められ、その表情を恐怖と絶望ばかりが覆い尽くしていた。当然であるが、彼の叫びが幼虫たちの動きに何かの影響を及ぼす事は無かった。
今や、その獅子の顔にも皮下で幼虫が蠢き、耳や眼孔、そして口からニュルニュルと這い出していた。そうして体外に排出される幼虫がいる一方で、頭まで辿り着いたものの多くは、無防備なレオの脳を目指していた。
生物の体へと指令を与え操っている部位がどこか、幼虫たちの本能に刻まれているようだ。それらは迷うことなくレオの脳髄の奥深くへと潜り込んでゆく。
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「ぎぃっ、ひがぁっ!? ひゃぁっ、ひぃぁあっ!?」
脳の中までもを幼虫たちに這いずり回られ、レオはその身を激しく痙攣させながら、とぎれとぎれの悲鳴を上げていた。まるで力など入らなかったはずの体は、脳内を掻き回されながら激しくのたうち、振り回される手は、地面に叩きつけられる。
だが、レオには力強く動く自分の体に気づく余裕すらも無い。脳への直接的な刺激に、何も考えることができず、吐き気を伴う途方もない衝撃に、ひたすら悲鳴を上げ続けるばかりである。
壊れたように何度も奇声を発しながら、のたうつように体を暴れさせる。それが一体どれだけの時間続いたのか、脳への刺激が収まった頃、レオはタテガミまでべっとりと濡らすほどの汗に塗れ、うつ伏せに横たわっていた。
膨らんだ腹もいくらか萎み、今も膨らんでいるのは確かであるが、臨月の妊婦という程ではない。
彼は疲弊しきった表情で地面に伏し、その口からは涎と一緒に無数の幼虫を吐き出していた。地面には彼の吐き出した虫たちが、うねうねと動いている。レオは無言のまま、その幼虫を見つめた。
不思議なことに、気が付けばその幼虫への嫌悪感がまるでなくなっていた。自らの身体を蝕もうとする蟲に対し、恐怖と嫌悪を感じていたはずが、今や悪感情など微塵も感じない。
レオは認識の変化を不思議がるような表情を浮かべていたが、やがて不意にその体を起こす。いつの間にか体が動くようになっていた。疲労による動きの鈍りはあるが、それでも不自由するほどではない。
自由に動かせるようになった腕を、彼は迷うことなく地面で蠢く幼虫へと伸ばした。彼が吐き出したそれを、土ごとすくい取ると、迷うことなく口へと運ぶ。牙で潰してしまわぬように気をつけながら、なんの躊躇すらもなく飲み込んでいた。口内には勝手に唾液が溢れ、幼虫たちは苦もなくレオの喉へと流れ込んでゆく。
へそから排出された幼虫も同じように手ですくいながら、レオはようやく自分の行動に対して疑問を抱く。何故自分はわざわざ幼虫をすくい上げて再度体内へと飲み込んでいるのだろうかと首を傾げるが、そんな思考とは別に体は勝手に動き続ける。精神と体が噛み合わぬ違和感に、レオは怪訝な表情を浮かべていた。
地面に落ちた幼虫を飲み込み終えると、レオはゆっくりと立ち上がり、獣の鼻を鳴らし、森の中に漂う匂いを嗅ぎとる。なぜだか分からないが、酷く懐かしい匂いを感じる。その匂いの源へ向かわねばならぬという、強迫観念とも言えるような想いが頭の中で大きくなっていく。
何故そんなことを思うのか。流石におかしくはないだろうか。レオは疑問を抱くが、やはり彼の脚は意思と関係なく歩き始めていた。意味も知らず歩き続けるうちに、やがて頭の中をその命令に満たされ、疑問さえも忘れてゆく。
衣服も盾も、身を守る武器である剣さえも拾うことなく、レオはふらふらと森の中を歩いてゆく。その表情は、まるで何かに陶酔したかのようにぼんやりとして、焦点の合わさらぬ瞳で宙を見上げていた。
歩きながら、時折その体が何かに抵抗するようにビクンと震える。発作のようにその瞬間が訪れるたび、レオは一瞬だけその目に正気を取り戻すが、すぐにその顔はぼんやりと宙を見上げる、白痴のそれに戻ってしまう。
脳までもあの幼虫たちに支配された今、レオはその命令に忠実に従うことしかできなかった。
そして、レオは辿り着く。森の中、地面に埋め込まれるように洞窟の入口があった。その中から、まるで自らの故郷であるかのような、懐かしい匂いがしてくるのだ。洞窟の入り口前には、小蟲たちに襲われる直前に仕留めたのと同じ甲虫が数匹いる。
武器も持たぬ今、その数を相手に勝てるはずが無い。だが、レオは無防備にそこへと歩いていった。レオの体から発散される強い汗の匂いが甲虫たちへと届いたのか、数匹のそれは一斉にレオの方へと向き直る。
そして、鳴いた。
甲高い虫の鳴き声が辺りに響く。そしてそれが合図なのか、両手でも数え切れぬ数の甲虫たちが、巣穴である洞窟からわらわらと這い出してきた。レオの視界に、黒い甲殻と赤い目の巨虫が広がってゆく。
これほどの数、たとえ剣を携えていても相手にするのは厳しいはずである。だが、レオは脚を止めることは無かった。恐怖すらも感じない。幼虫たちは、レオの脳を刺激して行動を操るだけでなく、すでにその一部を喰らい、彼から生への執着を取り去っていた。
甲虫たちがレオへと向けて距離を詰める。彼らは、レオを餌として認識したようであった。こうなれば、もはや逃げることすらも不可能であるが、脳髄に蠢く幼虫たちは、最後の仕上げを行った。
「――ひっ……」
レオは小さく息を漏らすと、脚を震わせてその場に尻餅をついた。そのまま彼は仰向けにひっくり返り、小さな呼吸を何度も漏らしながら、体を痙攣させる。脳の残った部分すら、幼虫たちが喰い荒らしてゆく。
まるで最後の抵抗をするかのように、レオは体を痙攣させ、首を激しく振って涙と鼻水と涎を撒き散らす。脳を喰い荒らされ、まだ絶命こそしていなかったが、もはやその頭から理性は失われていた。
そして、そうやって目の前でのたうつ活きの良い餌へと、甲虫たちが群がる。がさがさと音を立てながら走り、レオの体へと喰らいついた。
まず、その方や脚を強靭な顎で捕まえられる。そのまま体をあちこちから引っ張られていた。頭の中もかなり喰われてしまったようで、レオは呆けた表情のまま、ミチミチと組織の引き千切れる音を発する、自分の腹を見た。
見れば、膨らんだ腹にベルトが食い込み、そこはもう壊死しかけていた。ただでさえ腐りかけた部位へと力をかけられ、レオの体は腹に食い込むベルトを境に、二つに引き裂かれる。
「あ……」
下半身が自分から遠ざかって行くのを見つめながら、レオは間の抜けた声を漏らす。もはや自我を保っているかも怪しい様子であった。
引き裂かれた上半身と下半身の間には、小腸やその他の臓器が溢れ出る。そしてそれと同時に、大量の幼虫たちがどろりとレオの腹から流れ落ちた。臓器はその中身までをも幼虫たちに埋め尽くされている。
腕や脚を噛み切っても、そこからは幼虫が零れ落ちた。すでにレオの全身へと幼虫が行き渡っているらしく、甲虫たちは獲物の肉ごと、その幼虫を飲み込んでゆく。
二つに別れた体は、さらに甲虫たちの顎でバラバラに裁断されてゆく。腹の中に顔を突っ込んで内臓を引きずり出され、頭蓋を噛み砕かれながら、レオはついにその命を散らしていた。
引き千切られたそれぞれの肉片へと、甲虫たちは我先にと群がり、その肉体を食い尽くしてゆく。
破片となった肉体から溢れる鮮血の匂いすらも、甲虫たちの放つ生臭い臭気に掻き消されていた。どれだけの時間、甲虫たちがレオの肉を貪っていたが、やがてその数は減り、次々に巣穴へと帰ってゆく。
あとには、肉片すらほとんど残らぬ、白い骨ばかりが散乱していた。
その中で唯一頭部だけは、食い漁る部分が少なかったからか、砕けた頭蓋から脳髄を喰い荒らされ、下顎を引き千切られた程度の状態で、地面の上に転がっていた。
その表面には、甲虫たちの体内へと寄生し損ねた幼虫たちが這いずり、光を失った瞳には、代わり映えのしない映っている。だが、その肉片も眼球も、やがては腐り、土の一部として朽ちていった。
世界の異変へと立ち向かうための旅は、終わってしまったのだ。
終
レオシリーズ 劣情で悪化する獣化の呪い by森谷
レオシリーズ。
全行程スティッカム配信。
スティッカム中で「前立腺刺激の触手ボール入れられて劣情で悪化する獣化の呪いを回避するために排泄しようとするが排泄することで気持ちよくなって余計獣化してさらに20個といわれて絶望するレオのSSが読みたい」と言ったら書いてもらえちゃえました。…なにこれすごい。どうもありがとうございます。
written byもけ
「ぐぅううぁあっ……!」
鉄格子の向こうに設置された松明の灯りにその身を照らされたレオは、低い唸り声を上げ背筋を跳ね上げながら、内から吹き出る汗を散らした。
彼は、剣も盾も奪われ、身に着けているものと言えば、申し訳程度に股間や尻を隠す布程度という裸同然の姿で、身を震わせ何かに耐えていた。
獅子の唸り声がじめじめとした牢獄の中に響き、それと呼応するように床に描かれた魔方陣が鈍い光を放つ。
その光を忌々しげに見つめながら、彼は腹の底から漏れ出る声を噛み殺すように歯を食いしばった。
腹の中で何かが蠢くのを感じる。必死でその刺激に耐えようとするほどに、身体は震え、堪えきれぬ声が獣の咆哮となって放たれた。
「はぁっ、はぁ……ッ」
かつて感じたことの無いほどの刺激に、レオが息を荒げる。股間を覆う布には勃起したペニスの形が浮き上がり、先端に先走りが滲んでいた。
敵に捕まり、手足を拘束され、抵抗も出来ぬままに肛門からごく小さな球体を無数に注がれたのを覚えている。
だが、今自分の腸内で蠢いているものの感触は、無数の細い指先で内側から引っ掻き回されるようなものだ。
何がどうなっているのか、とめどなく押し寄せる快楽に半ば呑まれかけ、辛うじて自己を保っている彼の頭では、想像する事すら出来なかった。
だが、そうやっていつまでも刺激に悶え続けている訳にも行かない。レオは自分を取り囲む魔方陣を、再度見回した。
腸内の刺激に彼の興奮が強まり、抗えぬ劣情が募っていくほどに、その魔方陣はより強い光を放つ。
最初、腸内に小さな違和感を感じて首を傾げていたときは、ただの紋様として地面に刻まれているだけであったが、やがて強くなる刺激に甘い吐息が漏れ、ペニスが僅かに勃起し始めたとき、非常に薄っすらとだが光を放つようになっていた。
そして今や、魔方陣は松明の如くレオの身体を照らすほどに光を放ち、当然ながらその効果もレオの身体を蝕んでいた。
「ぐうぅうっ!」
毛皮に覆われた右手を見て、レオが唸り声を上げた。本来彼は、不完全に解けた呪いによって、獅子の頭と人の身体を持つ獣人の姿である。
だが、レオの劣情と比例して光を強める魔方陣の効果により、その体が少しずつ獣へと近づいているのだ。
「負ける……ッ、訳には……ッ!!」
レオは自らに言い聞かせるように宣言し、腸内を掻き回す異物を排出しようと、尻に力を込めた。
103人もの犠牲によって救い出された筈が、自らの劣情に呑まれて再度その身を獣へやつすなど、何があろうとも許される事ではない。
自らを救うために犠牲にしてしまった者たちの死を無に帰すなど、あってはならないことである。
戦いに敗れ、剣を奪われ、惨めに牢屋へと放り込まれて屈辱的な攻めを受けながら、犠牲になった者たちへの想いと王としての誇りだけが、折れそうになる心を支えた。
「くぅ、ぐぅ……ッ」
レオは体勢を変え、排泄のときのようにしゃがむと、再度体内の異物をひり出そうと力を込める。
異物は抵抗するように体内でもがき、その刺激に足が震えて体がふらついた。
腰布を突き破らんばかりに勃起したペニスがビクビクと震え、先端から射精のような勢いで先走りを吐き出す。
戦いの日々の中、色を忘れかけていた彼の身体に、その快楽を刻み付けながら、腸内の異物はさらに激しく動き出す。
器具によって強引に肛門を開かれ、直腸へと入れられたときは、ただの小さな球体のはずだったというのに、今やその球体は大きさを増し、グネグネと動く短い触手を生やし、それ自体が意思を持つかのように的確な動きでレオの劣情を募らせた。
「くっ、これでは……、駄目か……ッ」
レオはついに身体を支えきれなくなり、床へと両手を突いた。すでに右肩までが獅子の毛皮に覆われ、左腕も肘までが同じ状況になっている。
足も同様だ。指からは獣のような爪が生え、膝下までを毛皮に覆われていた。時間はあまり残されていないようだ。
レオは呻き声を上げながら、右手を自らの尻へと伸ばし、腰布をずらして肛門を露出すると、きつく閉じたそこを指で撫でた。
閉じたままでは、異物を排出する事が出来ない。レオは深い呼吸を数度行うと、意を決したように歯を食いしばり、きつく締まった穴へと強引に人差し指を突き入れた。
「ぐっ、くぅぅっ……!」
器具を使って肛門を抉じ開けられたときと似た痛みに襲われる。戦いの中に身をおき、痛みに慣れていた筈だというのに、その痛みには脂汗をかいた。
「そこ……かっ……!」
すでに異物はレオの肛門間際まで押し出されていたようで、指先に弾力のある触手の感触が触れた。腸内に溢れる粘液が、抉じ開けられた肛門から溢れて、すべりをよくする。
レオは指の本数を増やし、クチュクチュと自ら肛門を弄るようにしながら、異物を引っ張り出そうと指を動かす。
異物は表面から出る触手をうねらせながら、レオの指をかいくぐるように逃げ惑う。それを追って指を動かすが、自ら尻を掻き回すほどに獅子の毛皮がレオの身体を包んでいく。
尾てい骨の辺りに疼くような熱を感じ、息を荒げながらそこを見れば、獅子の尻尾が生え、ゆらゆらと誘うような動きをしていた。
「くうぅっ!」
気付けば自ら尻を掻き回すことに快楽を感じていた。レオは叩きつけられた現実に忌々しげに唸りながらも、正気を取り戻す。
すでに体中が獅子の毛皮に覆われようとしている。異物からの刺激で淫乱と化した身体を刺激してしまうのは、得策とは言えないようだ。
レオは肛門からゆっくりと指を引き抜いた。その手の形はすでに人のものではなく、獣と人の中間の形状をして、掌には肉球までついていた。
このままでは、ほどなく完全な獣になってしまう。その恐怖が、湧き上がる劣情を僅かながら抑え、彼の体の変化が一旦止まった。
だが、レオ自身はがそのことに気付く余裕もなく、焦燥感に満ちた表情を浮かべ、四つん這いの状態から立ち直れもせぬまま、尻に力を込める。
先ほどの指の動きで、肛門は濡れそぼり緩みきっている。今ならば、この異物を体外へ排泄する事も可能なはずであった。
「ふっ、ぐぬぅぅ……ッ」
レオは野生の獣がそうするように、四つん這いの姿勢で力み、異物をひり出そうと唸った。
彼が尻に力を込め唸るたび、蠢く異物が肛門へと押し出されていく。抵抗するように表面の短い触手を動かし、レオの腸内へと潜り込もうとするが、歯を食いしばってその快楽に耐え、力み続ける。
レオの口元からは涎が盛れ、瞳は快楽と誇りの狭間で揺れていた。
それでも今は、押し寄せる劣情に辛うじて彼の意志の力が勝っていたらしい。肛門を押し広げながら、ついに異物がその姿を現す。
卵ほどもある球体の表面から、幅一センチ弱ほどの短い触手が生えている。無機物と有機物が合わさったような、奇妙な外観の球体であった。
指より遥かに太いその球体が肛門を通過しているのだから、痛みを伴って当然の筈であるが、今や異物の刺激には快楽しか感じる事が出来ない。ペニスがビクビクと震えながら先走りを撒き散らす。
球体はその触手を今までで最も激しく動かし、最後の抵抗をするようにレオを攻め立てた。だが、レオもあと少しでその攻めから開放されるのだ。
「がぁああああああっ」
――びゅるううっ!
きゅぽん、と肛門から球体が弾き出て、レオの足元に落ちる。それと同時に、ついに限界へと達した刺激によって、レオは射精していた。
腰布の内側で精液が爆ぜ、布を濡らし、染み出して床に垂れ落ちる。
「ふっ、ふぁ……あ……」
異物を追い出したという安堵も束の間、絶頂を迎えたレオの身体を獅子の毛皮が包んでいく。その全身が毛皮に包まれてしまった。
レオは床に突っ伏したまま、荒い息を整えていたが、やがて自らの体が毛皮に包まれているという事に気付き、鉄格子の向こう側を見つめた。
看守用の古ぼけた椅子の上に、フード付きのローブを着込み、顔すらも見えぬ男が座っていた。
この魔方陣を描き、彼の直腸へと異物を侵入させた相手である。彼は言っていた。劣情を抱くほどレオの獣化は進むが、責め苦に打ち勝ってしまえば魔方陣は効力を失い、レオは獅子頭人身の姿に戻り、効果は術者に跳ね返ると。
だが、レオの身体は未だに毛皮に包まれ、獣へと近づいた姿のままであるし、相手にも変化は見られない。彼はその疑問を口にしようとした。
「ぐるるぅ……ッ」
だが、彼の口から放たれたのは獣の唸りである。口元を押さえ、驚愕に目を丸くする。鉄格子の向こう側の男が、鼻で笑ったような気がした。
レオが唸りながら彼を睨みつけると、小さく笑いながら疑問の答えを口にした。
「責め苦はまだ終わってなどいないぞ」
男はそう話しながら指を鳴らした。レオの足元に転がっている触手の生えた球体が縮み、パチンコ玉ほどの大きさになってしまう。
レオがそれを見たのを確認すると、男は再度指を鳴らした。
「がぁあぁっ!?」
その瞬間、激しい苦痛に襲われたかと思うと、レオの腹が内側から押されるように膨らんでいた。
男が含み笑いを浮かべながら、面白そうに言い放つ。
「あと20個排泄できれば、お前の勝ちだな」
レオの腹の中に入れられていた異物の媒体が、男の指示によっていっせいに発芽する。
そして、先ほどの異物と同じ動きで、彼の腸内を掻き乱し狂おしい刺激を与えた。
「がぁ、ぁぅ……ッ」
驚愕に見開かれていたレオの瞳に、薄っすらと涙が滲んだ。一つを排泄するために、彼は全身を毛皮に包み、言葉を失うほど獣へと近づいた。
あといくつ耐えられるだろうか。どれだけ奮闘しようとも、20個は無理に決まっている。
誇りを糧に劣情へと打ち勝った事すら、茶番でしかなかったのだ。
体内で複数の異物が一度に蠢き、先ほど以上の刺激をレオへと与える。レオは獣の唸り声を上げながら、ついにその瞳から大粒の涙を零した。
いつの間にか人とは違った形状になっていたペニスから、勢い良く精液が吹き出る。思考さえも獣に近づき、誇りの意味さえも忘れそうになる。
快楽に身を震わせ咆哮を上げながら、レオの瞳は絶望に染まっていた。
終
クロコダイン スライム風呂 (ネタ反応) by森谷
レオシリーズ 卵を産み付けられる。 by森谷
レオシリーズ。
卵なのか触手なのか、入れられてるのか引っ張り出されてるのか。
その辺をすべて想像に任せる形でいろいろと考えて描いた1枚目。
某所への投稿の最初でもあります。結構気合入れているつもり。
SS師3人がSSを描いてくださり、そのうち1つのSSを漫画化した方もいらっしゃって
私としては眼福でありとにかく嬉しかったです。
SSを執筆していただきましたもけさんに転載許可をいただきました。
もけさんのサイトには他にもSS多数です。是非!
written by もけ
「はっ、ひぃ…ん…ッ!」
ぬめぬめとした触手に体を弄ばれながら、レオは国王の威厳などまるで残っていない、獣のような嬌声を上げる。
百獣の王たる獅子の顔は、許容量を超えて体へと刻まれる快楽に、苦悶の表情さえ浮かべ、鍛え上げられ引き締まった体も、初めて男と寝床に入る処女のようにブルブルと震えていた。
もう何時間この行為が続けられたのか、彼の判断力を完全に失った頭では、思い返すことも出来ない。
ただ、触手がうねりながら乳首や玉袋をなぞって這いずり、その触手の先端が、彼の股間で反り返るイチモツに喰らいついて、精を吸い上げる感触に狂い、体に与える命令は、快感に体を震わせ、嬌声を上げろという命令だけだ。
「がっ、うがぁ…ッ」
ひたすら嬌声を上げ続ける口へ、触手が捻じ込まれる。レオはそれを認識すると、ざらざらとした猫科の舌で、ペニスにも似た形状を持つ触手の先端を舐め始める。
触手に捕まってからと言うもの、もう幾度となく飲まされ、その噎せ返るような臭いには吐き気さえも覚えた。
だが、彼の頭には抵抗の意思など残っていない。口に入れられた触手を噛み切ろうとしたこともあった。
だが、ゴムのような歯応えで獅子の牙さえも食い込まず、抵抗を見せれば喉の奥まで挿入するピストン運動が開始され、息さえもろくに出来ないまま、大変な苦しみを味わう事になる。
恐怖と苦痛を前にして、彼は躾けられていた。逆らう事もなく、抗う事もなく、誇りも知性も完全に失った姿で、なすがままにされるただの玩具に。
――ごぷっ、どぴゅる!
「んんがっ、んむ…ごく、…ッ、ゴホッ!」
彼の奉仕によって、口の中の触手から精液が放たれる。汚臭が彼の口内へ広がり、金色の瞳からとめどなく涙が溢れた。
レオは口内へ放たれる精液を、余さず飲み干そうと喉を動かすが、既に胃袋は精液で満杯にされている。
許容量を超えた精液に噎せ返り咳をしながら精液を吐くと、触手たちは不快感を覚えたのか、彼へのお仕置きを開始した。
「んひっ、ひぃがあああっ!」
一本の触手が彼の肛門をまさぐり、突き入れられたかと思うと、直後には激しいピストンが始まっていた。
直腸を突き上げられるたびに、綺麗に割れた腹筋がボコボコと動く。
さらには悲鳴を上げるために口がいっぱいに開けられたのをいいことに、口内の触手は喉の奥まで進入を果たし、食道へと直接精液を発射する。
――ごぽり
その音を皮切りに、レオの肛門から放水されるように精液があふれ出した。入り切らない内容物が排出される、当然の事だが、彼の食道から直腸まで、全てが触手の精液で満たされていると言う、異常な事態でもある。
だが、それでも彼は意識を失うことも、完全に正気を失う事も出来ない。王としての誇り、鍛錬に裏打ちされた精神力、それらが苦しみを継続させる。
触手を振り払い、逃れる体力など残っておらず、だが体の中に注がれた精液のお陰で、飢えも渇きも感じない。
まるで、故意に生かされているようだった。この知能が存在するかも怪しい触手によって、自分の体が作り変えられていくようで、レオは激しい恐怖を感じた。
そして、それは間違っていない。緩んだ肛門に、レオの中を満たす精液、体の方は完成している。後は頭。彼の精神が完全に破壊された時、苗床は完成するのだ。
彼の頭を這う触手が、ゆっくりと耳元ににじり寄っていく。同時に、ペニスを覆う触手の口の中から、細い管が尿道を通ってレオの体内に侵入した。
「んぐっ、ぐぁあぁああっ!!」
もはや全ての性的快楽を味わいつくしたと思っていた体に、なおも与えられる激しい刺激。今度こそ気が狂わんばかりの快楽だった。
おとこのもっとも敏感な部分を内側から刺激され、さらにその奥へと進んでいく。激しい痛みとそれを超える快楽に、レオは白目を剥いて咆哮を上げるばかりだった。
やがて管は尿道を突き進み、分岐点をこじ開けて精巣へと向かう。瞬間、快楽を痛みが上回った。レオの体が強張るが、管は侵入をやめず、ついには玉袋の内側へと到達する。
睾丸を直に小突き、玉袋に溜まった精液を吸い上げる。形容の仕様がない、苦痛や快楽を超えた感覚だった。
それは彼の精神を壊すに十分な刺激だったろうが、追い討ちをかけるように、触手が彼の耳から頭の中へと侵入する。
「ひッ……!」
寒気が走った。頭の中に異物が入り込んでいる。三半規管を破壊しながら触手は脳へと向かい、丸いライオンの耳から、つーっと血液が伝った。
頭蓋の内側に侵入した触手は、粘液を滲ませながら、ピンク色の脳髄を撫ぜる。疲弊しきっていた筈のレオの筋肉がビクンと反応を示した。
「あがっ、ひ……、ひゃ……ッ!」
奇声を上げながら、レオの体が狂ったように震える。頭の中の触手は、脳の表面を這いずり回りながら、前頭部へと進む。
そしてレオの体を激しく痙攣させながらその場所に到達し、軟い前頭葉を破壊した。レオに痛みはない。脳に痛覚など存在はしないのだ。
頭の中の出来事だが、見た目にもすぐ変化は見て取れた。反抗の意思を失わず、いつまでも険しい光を湛えていた獅子の瞳が、色を失う。
痙攣を繰り返していた体は人形のように力をなくし、人としての思考も終わりを迎えた。
耳に突っ込まれた触手が、目的を終えてするすると出てくる。表面には多量の血が付着していた。
正気を失ったレオは、濁った目を宙に向け、「うー、あー……」と声を上げる。
獲物は完全に壊れた。触手たちは下準備の完了を感じ取る。
レオの肛門からペニスの形状をした触手が引き抜かれると、代わりに幾分か細い触手が差し込まれた。
先端こそ細いが、根元へ行くとレオの顔ほどもある巨大な袋状になっており、丸い物体が大量に詰まっているらしく、表面の形状は凹凸だ。
その球体が、触手を通ってレオの肛門へと運ばれていく。獲物に卵を産みつけて苗床にする。自然界にはありふれた光景だった。
――ぐぽっ
緩みきった肛門は、難なく卵を受け入れる。触手を通って卵はレオの直腸のさらに奥へと運ばれていく。
――ぐぽっ
また一つ。
―ぐぽっ
さらに一つ。すぐにレオの腹は妊婦のように膨れ上がり、ついには直腸が卵で埋め尽くされ、それ以上は入らないと言う状態になってしまう。
産卵は終了だ。レオの肢体へと巻きついていた触手は緩み、離れ、彼を捕らえるものはなくなった。
だが、その場から動く事は出来ない。「ぐへ、ぐへ」と下品な息遣いで倒れこみ、膨らんだ腹を抱えて、濁った目で宙を見上げる。
誇り高い獅子王の冒険は、今ここに終了した。
終
レオシリーズ 乳首吸引 by森谷
レオシリーズ。
…ん?こんなに大きい画像いけるのか?
なぜだか画像サイズが大きいといわれてアップロード
できなかったんだけどこれぐらいはいいのか。
サイズは余裕で500KB以下だし…よくわかりません。
漫画を載せたくてもサイズではねられて載せられませんでした。
Pixivの方にアップしました。
レオシリーズ 肉棒吸引 by森谷
レオシリーズ 直腸吸引 by森谷
レオシリーズ 尻攻め by森谷
レオシリーズ。
パーツを増やしてエロ漫画ができるか? という試み…でしたが
自分一人の場合はやはり漫画描いた方が早い。
パーツとして途中提示してみたものの、やはりこれだけでは不足過ぎるようで
次回やるとしたら100カット程は用意しないと無理そうです。
ぎんぎつねシリーズ 金次郎 産卵 (リクエスト) by森谷
【続き→妖怪化した金次郎襲来】
本当は侵食で体が黒く染まっていく、腹ボテ、とかいろいろあったんですけどすべてスルーしてしまいました。次こそはッ!
(11月16日追記)
SSを執筆していただきましたもけさんに転載許可をいただきました。
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written by もけ
金次郎の失敗は、人の世とは彼が思うよりも遥かに広く、そして世の暗部と言うのも、清浄たる神社から外を眺めてきた彼には想像も付かぬほど、深かったことだ。
どれだけ神社に来る人間を見ても、彼は外の世界を知らぬままだった。
社の中から境内を眺め、醜い人間、美しい人間、善人や悪人を見ようと、それは世間の一端でしかなく、彼の知っていた闇もまた、所詮は広い世界に潜むモノ達と比べれば、小さなものだった。
そして、彼にとって何よりもの不幸は、その事実を理解したとき、すでに手遅れだった事である。
そこは大規模な飢饉に襲われた地だった。彼の神社があった村は、豊穣の神を奉っていただけあり、人も、土地も豊かな場所だった。
しかし今彼が居る場所は、土地は痩せ細り、人々は失意に暮れ、不の情念ばかりが薄暗い瘴気となって漂っている。
いくら神に仕える存在であるとはいえ、狐一匹が救おうと思う事すらもおこがましい、煉獄であった。
「……ん、くっ、うぅ……ッ」
金次郎は、苦しげに鳴き、神力を吸い尽くされ、腕ひとつ持ち上げられないほどに弱った体を震わせた。
村に漂う瘴気は神使である金次郎と、その神との繋がりを阻害し、彼の力を弱める。
そして、彼にまとわり付く妖怪は、弱りきった金次郎の体を自らの苗床として選び、彼をこの地に縛り付けていた。
自分の身に余る物事に手を出した報い、彼はそう理解し、最初こそこの罰を甘んじて受け入れ、その存在を妖怪に食い尽くされ、消えていこうと思っていた。
しかし、瘴気に包まれたこの地であっても、人々は神へと祈る。その祈りは、この地で最も神に近い存在、つまりは彼へと集まるのだ。
その僅かばかりの祈りが金次郎の存在をこの世に繋ぎ止め、彼は瘴気に満ちた地で、妖怪の苗床として生かされ続けていた。
金次郎は、腹の中で這いずり回る異物に呻きながら、人間で言う前髪のように伸びた毛皮に隠れる、黒い目を見開く。
彼の腹の中で妖怪の幼生が動く様子は、外側からも確認できるほどだった。彼の腹は妖怪たちの脈動に合わせて蠢いている。
もはや金次郎自身、自分の体内がどうなっているか予想が付かなかった。
だが、こうやって妖怪を産まされ続けるうちに、彼の体が変容しているのは確かだった。
最初に体内へ卵を産み付けられたとき、神使の体と妖怪の体とで拒絶反応を起こし、気が狂うほどの苦しみを味わった。
だが、今は外から見ても腹が膨らみ、その中で何かが蠢いているのが分かるほどに、彼の体内は妖怪の卵に占領されているが、腹を限界まで膨らまされているという、物理的な苦しみしか感じない。。
もう、自分の体内は妖怪と一体化しているのかもしれない。彼を捕らえ放さない一つ目の妖怪によって、妖怪を産むための孵卵器へと作り変えられているのかもしれない。
嫌悪から彼のマズルにはしわが寄った。人々の祈りによって生きながらえた命で妖怪を育む道具にされたばかりでは足りず、本当の孵卵器へと変質されようとしている。
身の毛もよだつ思いだが、ささやかな抵抗の術すらも持たぬ彼は、そうやって自らの体を苗床に、何匹もの妖怪を産み落とし続けるしかなかった。
彼の体に触手を絡める、触手と大目玉の合わさった妖怪は、まるでそんな金次郎をあざ笑うかのように奇声を発し、彼の褌に触手の先端を絡めて捲り上げる。
半開きになって濡れそぼった肛門が外気に触れ、金次郎は再度切なげに鳴いた。
何匹もの妖怪を産み落とした彼の肛門は緩みきり、もう力を入れることも出来ない。
体内で蠢く妖怪の卵が、その出口を目指して移動している。拳ほどはある物体が、直腸を下降していく感覚に、金次郎の体が震えた。
「あ――、あぁ……」
腐った肉のような色合いの卵が、肛門へとたどり着く。表面に出来た口のような形状の部位から、毒々しい紫色の触手を伸ばし、出るには少しだけ小さい肛門を広げる。
その感触に、金次郎はもはや口から漏れる艶やかな声を隠すことすら出来なかった。
(また、産まれてしまう……)
拡がった肛門から、ぬるりと妖怪の卵が産み落とされる。口のような部位から「ゲブゥ」と不快な音を発し、地面に打ち捨てられた金次郎の衣へと転がり落ちた。
だが、それだけでは終わらない。最初の一匹が通って拡がった肛門へと、次の卵の触手が触れる。
まるで軟体動物のように柔らかい卵が、ひとつ、またひとつと、彼の肛門を通過して行った。
膨らんでいた彼の腹も、卵が出て行くとともに徐々に凹んでいき、元の大きさへと戻っていく。
一つ産むたびに口からは艶っぽい声が漏れた。体の変質に伴ったものだろうか。いつしか妖怪を産み落とす瞬間、彼の体には甘美な刺激が走るようになっていた。
もう苦しさは無い。それどころか体内の卵を全て産み落とした後は、とてつもない空虚感が彼を襲った。
まるで腹の中が空っぽになってしまったかのような妙な感覚が彼を襲い、また体内を何かで満たしたくて堪らなくなるのだ。
そして、一握りだけ残った神使としての誇りを捨ててまで、それを頼んだりせずとも、妖怪はすぐにそんな彼の願いを叶えてくれる。
「あっ、あぁあぅっ!!」
細長い触手が彼の肛門へと滑り込んだ。その快感に金次郎が吼える。
もはや、この妖怪を拒んでいるのか求めているのか、その判断すらも付かない。
ただ、妖怪の触手が広がりきった肛門から体内へと侵入し、腹の中をかき回す感触が、堪らなく気持ちいいだけだった。
触手は同時に、口元にも迫って、彼の口を抉じ開け、喉へと伸びる。表面から滴る粘液の味が、口の中に広がった。
初めて口にしたときは、生臭く吐き気を誘ったその粘液が、今は甘美な蜜のように感じられた。
拷問のような時間の中、ひと時の安らぎを与えてくれる甘い蜜を、金次郎はペロペロと舐め、飲み干していった。
「ん、ぐちゅう、じゅ…んっ……」
妖怪を産み落とした直後にだけ、まるでご褒美のように与えられる蜜を味わいながら、金次郎の股間を覆う褌が盛り上がっていく。
体内を触手でかき回されるほどに、彼の男根は立ち上がり、褌に先走りを滲ませていた。
まるで変質していく彼の体を確認するかのように、触手は肛門から差し込んだ触手で、金次郎の体内の隅々までを弄くり、やがて、きゅぽん、と音を立てて引き抜かれる。
まだ足りないとばかりに金次郎の腰が震えたが、今度はまるで男根のような形状をした触手が彼の肛門へと挿入される。
「――あッ」
――びゅるんっ!
先ほどよりも太い触手の進入に、艶やかな声を上げて射精した。褌に浮かび上がった染みが触手へと垂れ、そして吸い込まれる。
そして今度は、男根型の触手の方が、金次郎の体内へと未熟な妖怪の卵を産み付けるための準備を始めた。
挿入された触手が根元の方から膨らんでゆき、肛門を限界まで押し拾えるほどの太さへと変わる。
そして、溜めたそれを一気に吐き出すかのように、金次郎の体内で熱い粘液と卵の奔流が吐き出された。
――ゴブッ、ゴポォォオオオオオ!!!
射精と言うにはあまりに凶悪な勢いと量だ。体の内側から外側へと向けて殴りつけられたような激しい衝撃に、金次郎の腰が浮く。
作られたばかりのの小さな卵が、粘液とともに金次郎へと流れ込んでいった。
体内へと流し込まれた卵は、金次郎の一握りの神力を食い荒らしながら共食いを繰り返し、先ほど産み落とされた卵のようにして体外へと出る。
卵で満たされた金次郎の腹は、産卵直前の先刻ほどではないものの丸みを帯びて膨らみ、その体内に妖怪を宿していることを物語っていた。
触手が肛門から引き抜かれると、今まで脱力し切っていた肛門が、まるで金縛りのように硬く閉じる。
今までは凝固性の粘液で肛門を塞いでいたのに。初めての経験に、金次郎の頭を満たしていた快楽が揺らぎ、不意に不安が襲ってくる。
神使としての格など微塵も感じさせない萎縮しきった表情で、自分の体を目だけ動かして見回す。
そして、その疑問に答えるかのように触手が蠢き、褌を破り取った。
「そ……んな……!?」
金次郎の声は震えていた。彼の股間にそそり立つ男根には触手が絡み付いている。だが、彼の男根と触手の境目が無かった。
最初から繋がっていたかのように地続きになっている。妖怪の卵をその見に宿し、幾度と無くその体液を注ぎ込まれた彼の体は、ついに妖怪と一体化してしまうまでに変質していたのだ。
力の入らないはずの肛門が締まったのも、下半身の支配権をこの妖怪に奪われていたからだ。
この妖怪は、神使を取り込もうとしている。孵卵器にしようというのではない。金次郎を、自らの体の一部として、卵を育てるための器官として取り込もうというのだ。
体毛に隠れた金次郎の瞳が恐怖に染まる。妖怪が、それを見通しているかのように大きな目玉で瞬きする。まるで嘲笑っているようだった。
同時に、男根だけでなく、太股に絡みついた触手が、彼と一体化し始める。金次郎は辛うじて動く首を、力なく横に振った。
神使でも妖怪でもない、半端モノへと変質した体を抱え、後悔から来る涙を流す。
「はぁ……はぁ……、やめ、ろ……」
まだ自分の意思で動かすことが出来る上半身を捩り、触手の呪縛から逃れようとする。
だが、そんな彼を簡単に制する術を、妖怪は今しがた手に入れたところだった。
「は――、はぁっ……!?」
金次郎の体がビクンと弓なりに跳ねた。今まで感じたことの無い感覚が、妖怪と一体化した陰茎に走る。
強すぎる刺激に体が小刻みに痙攣し、奥歯をガチガチと鳴らしながら、刺激の発生源である陰茎を見た。
彼の陰茎は、一体化した触手によって内側から刺激され、ビクビクと痙攣している。痛いほどに勃起し、先端から先走りを飛ばし、陰茎の内部でうねり回る細い触手が、鈴口から姿を現す。
それだけではなかった。鈴口から姿を現した細い触手は、そのまま亀頭と一体化していく。腐肉の色をした触手が、赤黒い亀頭と一体化し、鈴口が完全に塞がれた。
『栓をする』というのではなく、触手との癒着によって鈴口自体が消えている状態だった。
「ぁあがっ、がっ、ぎぃいいっ……!」
射精どころか、先走りを出すことも出来ない状態に、金次郎の陰茎は一回り膨らむ。そして、膨張しきった肉棒の感度も、先ほどまでとは比べ物にならなかった。
陰茎の中で触手が暴れ狂い、絶えられぬ刺激に絶叫をあげながら痙攣し、肛門から体内へ産み付けられた卵をシェイクする。
まだ小さな卵たちが、体内で蠢いているのが分かった。金次郎と言う上質な孵卵器の中で、卵はもう成長を始めていた。
変質した彼の体内は、神力を持ちながらも、妖怪にとって居心地の良い場所になっている。
神使の体と妖怪との拒絶反応が起こらなくなり、繰り返される産卵と注がれる体液に体が変質し、そしてとうとう妖怪と一体化しようとするまでに変わってしまった金次郎の体内で、卵はこれまで以上の速度で成長していた。
(やめ……ろ……! これは、私の体だ……ッ)
妖怪の触手によって体外から体を浸食され、同時に体内も卵が成長しながら彼の体を蝕んでいく。
これまでいくら体を汚され、神使とは別の何かに変えられて行こうが、金次郎と言う個は依然としてそこにあり続けた。
だが、今は違う。体は妖怪に蝕まれ、着実に奪われようとしていた。そして当然ながら、金次郎にそれに抗う力が残っている筈も無い。
抵抗すら許されず、自分の体が少しずつ奪われるのを感じながら、金次郎は呻き、体を痙攣させていた。
「あ、ぐ……」
触手が太股や股間を伝い、より奥へと、彼の体の中心へと侵食してくるのを感じ、悲痛な声が漏れる。
まるで体内へと直接冷水を注ぎ込まれるような冷たい感覚に、金次郎の体の震えがいっそう強まった。
脚を見れば、もはや触手が脚を侵食しようとしているのか、脚から触手が生えているのか傍目には分からないだろう状態だ。
こんなにも堅牢な楔も無いだろう。金次郎は上半身を捩り抵抗を続けていたが、鼠が蛇に飲まれる最中、なおも鳴き声をあげるのにも似た光景だった。
彼の苦しむ姿を映す大目玉は、それを楽しんでいるのか、随分と上機嫌に見えた。とうとう金次郎の体が、完全に自分の物になるときがきたと、理解しているらしい。
下卑た喜びの感情が流れ込んでくる感覚が、彼の頭に走る。この状況への絶望がそんなものを想像させるのだと思ったが、しかし程なくして、彼は戦慄した。
「や……め、ろ……ッ、あぁ、……ぐっ、うぅ……」
金次郎が消え入りそうな程小さな声で、恐怖に震えながら言葉を放つ。その今にも消えそうなか弱い拒絶を感じ取って、また感情の波が伝わってくる。
妖怪の感情が流れ込んでくると言うことは、それだけ深く妖怪と溶け合っていると言うことに他ならない。そして、心さえもその侵食からは逃れられないと言う事でもある。
神使と言う立場上、人間の願望や想い、様々な情念に接してきた金次郎だったが、どんなに深い悲しみや憎しみよりも、妖怪の思惟は彼に負担をかけた。
おおよそ感情と呼べるかも分からない、この世の全てへの破壊願望、生ける者の嘆きを望む、利害も何も無い純粋な負の念が伝わってくる。
「――うぅっ、げぼぉッ、げっえ……ッ」
金次郎は先ほど飲まされた妖怪の体液を嘔吐していた。流し込まれたときとは違い、彼の吐いた吐瀉物は、どす黒い色の粘液だった。
黒い粘液は彼の胸の上へと跳ね飛び、名の示すとおり金色にも見える美しい毛皮の上に落ちた。
金次郎の黒い目が見開かれる。これまで麻薬のような快楽を彼に与えていた液体は、こうして彼の体を蝕む邪念の塊に他ならなかったのだ。
これこそが、彼の体を変質させていった原因の一つとも言えるかも知れない。今まで何度となく飲まされてきた液体の正体を見せ付けられ、金次郎は震え上がるが、しかしもう全てが遅い。
その液体は長い時間をかけて彼の体全体へ行き渡り、すでに妖怪と一体化するまでに彼の体を作り変えていた。
鼻と口から黒い吐瀉物を垂らしながら、金次郎は小刻みに体を痙攣させる。
妖怪の黒い思惟をまともに受け、頭が割れるように痛んだ。先ほど産み付けられたばかりの卵も、腹の中で暴れて嘔吐感を助長する。
「あぁ――、……ッ、ぁ……!?」
金次郎はうめき声を上げながら、体を弓なりにしならせた。それだけ彼の体が馴染んだと言うことだろうか、卵の成長の速度は、さらに増し続けている。
神使である彼にそういった常識が通用するかは分からないが、人間にすれば体内で臓腑を喰らい尽くされるような感覚だった。
「も、や……め……ッ、がっ……!?」
肉の塊が体内で蠢き、金次郎の体を内側から喰らっている。神使の体を、彼の腹の中の卵たちも求めていた。
内側からその肉を喰らい、産み付けられた卵自体が神使の力を取り込もうというそれは、卵子が精子を取り込むのにも似ていた。宿主に激しい激しい苦痛を伴う、妖怪の生殖行為なのだ。
腹の中の卵は金次郎を喰らいながら、同時に共食いを行い、金次郎の体内へと無数に流し込まれた卵は、一つの妖怪として収束していく。
「……ッ、ぁ……あ」
苦しみに瞳孔が揺れ動き、口からはもはや意味も成さぬ呻き声が、搾り出されるように漏れた。
薄気味悪い腐肉色の球体でしかなかった卵が、金次郎を喰らうことでその身を形作っていくのが感じられる。
彼の腹にはその形状が時折り浮かび上がり、鳥や蛇の仔が卵の殻を破り産まれ出るように、金次郎と言う殻を破り捨てようともがいているのが見て取れた。
口から黒い液体を吐き出しながら、金次郎が痙攣を続けるが、やがてその鳩尾から、鋭い爪が突き出された。
「――ッ!?」
金次郎は体を弓なりにしならせた状態で、ぴたりと動きを止めた。爪は内側から、金次郎の体を縦に切り開いていく。
卵を産み落としたときのような快楽など微塵も無い、苦痛しかもたらさぬ出産だった。もはや快楽によって金次郎の抵抗を抑える必要すらないのだ。
そして、微かに赤みを帯びた黒い粘液に塗れる一匹の獣が、切り開かれた腹からにゅるりと顔を出した。
表面は金次郎を捕らえる妖怪や、金次郎の産み落とした卵と同じ、腐肉の色をしている。そして体中にある口のような部位も、地べたに転がる卵と代わらない。
しかしどこか不定形で生物とは異質な雰囲気を漂わせる、大目玉やその卵と違い、金次郎の腹を引き裂いて生まれた獣は、狐の形状をしていた。
金次郎は、腹を切り開かれてもなおハッキリとした意識を保ちながら、自分の腹から生まれでた、奇形の狐を見た。
まるで生気を感じさせない灰色の瞳と視線がぶつかる。狐の面の口が開いた。体中にある口のような部位も開かれる。
『――ッ……ッ……ッ!!!』
聞いたことも無い音だった。体中の口から別々の音階で笑い声を出し、それら全部が重なって、喜怒哀楽のどれとも付かぬ意味不明な叫びになっている。
ただ一つ確かなのは、その壊れた声に、金次郎はこれまでに無いほどの恐怖を感じたことだけだった。
産まれ出た獣の体中にある口は、人が笑うときと同じ形を作り、舌のような紫色の触手を出している。
金次郎の身を喰らい、その血族として産まれ出た妖怪は、おぞましい外見そのままの、身の毛もよだつ笑い声を発し、産みの親とも言える金次郎を嘲笑っていた。
獣は体中に付いた粘液を跳ねながら、金次郎の腹から飛び降りる。代わりに、彼を捕らえる大目玉の触手が、切り開かれた腹へと伸びた。
いくら捕らえ穢し尽くそうと、外部から神使を侵食し取り込むには相応の時間が掛かる。だが、ぱっくりと開いた腹から、表面以上に変質した体内を晒す金次郎は、今や本当の意味で無防備な存在になっていた。
産まれ出た獣に食い荒らされ、まるで内臓を刳り貫かれた家畜のように空っぽになった腹へと、無数の触手が潜り込んでいく。
「ぁ……」
体内へと侵入した触手が、体中へと侵食を始めても、金次郎はもはや声を出すことすらままならない。
ひゅう、ひゅう、と腹から入った空気が口から抜けていく。体内で枝分かれした触手は、まるで神経のような様相を呈しながら、金次郎の全身へと広がっていった。
最後の抵抗とばかりに、彼の上半身を包む筋肉がピクピクと震えたが、すぐにその体は完全に妖怪の支配下に置かれた。
支配の証か、美しく染め抜かれた布に墨汁がしみこんでいくように、彼の金色の毛皮が黒く変色していく。
切り開かれた腹は妖怪とつながり、一体化する形で塞がっていく。そして最初は斑のように変色していた彼の毛皮も、そのうちにどす黒く変色した部分の比率が増え、やがては首から上を残して漆黒に染め上げられていた。
しかし、その侵攻は首元で止まり、中々その上へと向かう気配を見せない。産み付けられた卵や取り入れた妖怪の体液からも離れた頭は、最も変質が進んでいない部位でもあった。
完全に取り込まれる前に、黒い思念の奔流へ飲み込まれていく前に、覚悟を決めるための時間だろうか。
絶望と恐怖に、いっそのこと発狂したいとまで思っていた彼だが、全てに諦めをつけるための時間と言うのも、考えようによってはありがたい。
不甲斐ない自分にも、消える間際にほんの少しの加護を得ることは出来たのだろうか。
最後に、今も神社の中でぐうたらとしつづけ、みかんと惰眠を貪ってるだろう銀太郎や、もう大人になっている頃だろう、神主の息子や、神社へと参拝し、様々な感情を残していった人々が、次々と脳裏に思い浮かぶ。
神使となる前、ただの狐としての生を終えるときもこうだっただろうか。これが、走馬灯と言うものなのだろうか。
気付けば、その全てに対して未練を持っていたと気付く。帰りたい。心底そう思い、次から次に涙が溢れた。
(だが、もう……)
帰れない。その現実を突きつけるように、黒く染まった両手が、金次郎の顔へと迫った。鋭い爪が見せ付けられ、指と爪の隙間から、寄生虫のように細かな触手が漏れ出ている。
太い指は、ぐちゃっと音を立てて金次郎の両目へと突き入れられた。指先から伸びる細かな触手は、金次郎の頭さえも侵食していく。
細かな触手は、金次郎の頭の中で網を作るように絡み合い、記憶さえも侵食していった。
脳裏に輝いていた思い出が喰らい尽くされている。体に刻まれた記憶が奪われていく。金次郎と言う存在を形作っていたものが消えていく。
気付けば彼は、ただの狐だった頃の姿で、暗闇の中震えながら体を丸めていた。
上も下も分からない場所で、ただ全てが奪われていく恐怖に泣いていた。
やがて、彼自身の体も消えていく。頭の中には、消えていった記憶の代わりとばかりに、妖怪の黒い思念が流れ込んでくる。
価値観は失われ、何が正しいのか、自分が何なのか、何が目的なのか、全てが分からない。ただ、頭の中に流れ込んでくる思念だけが、ただ何も無い空間での道標だった。
そして彼は、理性を持たず破壊願望だけしかない妖怪の代わりに、思考し始める。どうすればいいのか、頭の中を満たす願いを実現する方法を考え始める。
三角形の耳の先まで黒く変色し、彼はその魂までも妖怪に奪われていた。より強い妖怪を作るための器官として、そして神力を手に入れるための器官として、体を支配されたように、本能しか持っていなかった妖怪が思考するための器官として、魂を取り込まれる。
もはや、金次郎と言う存在は完全に消え去る。金次郎の姿をした黒い妖怪がそこに残され、その狐の面に凶悪な笑みを浮かべながら、顔を覆っていた手を離した。
そこには体の持ち主とはまるで違う、ギラギラと狂気の色をたたえる単眼があるだけだった。
破壊願望をぶつけるものを求めて、その単眼がぎょろりと動き、遥か西の方角を見据える。喰らい尽くした金次郎の記憶に垣間見た、幸せそうな場所。壊さなくては。
それだけを思い、妖怪は動き出していた。
終
【続き→妖怪化した金次郎襲来】
オオカミ スライム (SSリクエスト用) by森谷
SSリクエスト用画像2。お一人執筆してくださいました。感謝です。
(11月16日追記)
SSを執筆していただきましたもけさんに転載許可をいただきました。
もけさんのサイトには他にもSS多数です。是非!
written by もけ
ドン、ドン、強固な作りの鉄の扉を、力強く叩き、そんな音が室内に響いた。
白い狼の獣人は、拳に血を滲ませながら、その扉を何度も叩き、叫び続けていた。
「開けてくれぇ! 頼む! 他は何でも言う事を聞く! 頼む、頼むから……!」
にじり寄る恐怖の源に、彼の全身の毛皮は逆立ち、尻尾は両脚の間に挟みこまれている。
イヌ科の獣人にすれば、屈服の証とも言える行為だったが、今の彼は無意識のうちにそれを行っていた。
締め切られた室内は薄暗く、狼の持つ純白の毛皮は、暗がりの中に美しく映えている。一糸纏わぬ姿なら、なお更であった。
恐怖に打ち震えながら、必死に助けを請う美しい白狼、観察者からすれば、さぞ見ものになる光景なのだろう。
そして、この場を仕組んだ者たちの中に、彼を助けようという意思を持つ者など、一人もいなかった。
両拳の毛皮を紅く染め、ポタポタと血液を垂らす間にも、背後から水っぽい音を立てて、恐怖の元凶が近寄ってくる。
狼は死に物狂いで叫び続けた。応えるものは誰もいない。足首に、冷たいものが触れた。
ハッと彼が振り返ると、暗い色をしたスライム状の生物が、闇に紛れて彼の足首に纏わりついていた。
助けなど訪れず、彼は恐怖に捕まってしまう。
「ぐぅ、ぐわぉおんっ!!」
白狼は、恐怖を誤魔化すように、威嚇の咆哮を上げる。だが、知性があるかも分からない存在が、威嚇など理解しているとは、到底思えない。。
事実、スライムはゆっくりと、彼の右足をを伝ってにじり上がってくる。それに合わせて、狼の恐怖は際限なく膨らんでいった。
嫌悪と恐怖心に、全身の毛穴から冷や汗が噴出し、純白の毛皮が湿っていく。濡れた毛皮が地肌に貼り付き、筋肉に包まれた体の凹凸が、くっきりと浮き上がっていた。
「だ、誰か……!」
スライムに纏わり付かれた右足から、ゆっくりと痺れが伝わってくる。立ち上がることは出来ても、歩く事すらままならなかった。
助けを呼ぼうにも、彼の声は誰にも届く事無く、闇の中に吸い取られるように消えていく。
「あ……あぁ……ッ」
狼が床に両手と両膝をついて倒れこむ。そこからさらにスライムが纏わりついてくる。痺れが全身に行渡る。
また、痺れが全身に回るのと同時に、堪えようもない熱が体を襲った。恐怖に荒い息遣いを続けていたはずが、気付けば発情期の犬のように、ハッ、ハッ、と下品な息遣いをしている。
どうした事だ。痺れを堪えて、何とか立ち上がりながら、狼は何かを否定するように首を振る。
両脚から伝うスライムが、太股をへと到達し、ゆっくりとその表面を這いずる、体毛がぞわりと波打った。
「ひっ、あがああんっ」
それに合わせて口から漏れ出たのは、まるで嬌声のような、情けない声だった。
全身がこれ異常ないほど敏感になっていた。スライムが体を這い上がってくる動きに、気が狂いそうなほどの衝撃を受けてしまう。
訳が分からない。一体これは何なのだ。もはや、四肢の3分の2ほどは、すっぽりとスライムに覆われ、侵食はさらに彼の尻や、肩へも進んでいた。
「た、たの…ッ…む…、助け…ッ、たす…けて…ぇ!」
誰に向かってという訳でもなく、狼は擦れた声で懇願した。
頭がおかしくなりそうなほど熱い。股間ではペニスが痛々しいほどに勃起して先走りを垂らしている。
肛門を隠すように、股間に挟んでいた尻尾を、スライムが掴み、無理矢理向きを変えられる。
露になった肛門へと、うねっとスライムがその体を細く伸ばし、キュッと締まった入り口の左右へと吸着して引っ張ると共に、尻の割れ目を開いた。
「あっ、あぁっ、や、め…ぇ、ぐぅッ、お、ぉおおんっ」
左肩まで這いあがってきたスライムが、頬を撫で、口まで向かおうとする。恐怖に見開かれた金色の瞳から、一筋の涙が流れた。
力の入らない体は、四肢を包み込むスライムの操り人形のように動かされ、尻を突き出し、男を誘うような体勢をとらされている。
肛門へと、スライムが細長く伸ばされ、入り口に重なってぐにぐにとうねる。
鼻先を除いて、マズルをスライムが包み込む。柔らかいはずのスライムは、驚くほどの力で彼の顎を固定していた。
「んんんっ!! んんぐんんんんぅぅぅ!!!!」
びゅく、びゅるるるっ、快感に打ち震えながら、彼のペニスから精液が飛び散り、彼の足元のスライムにしみこんで行った。
それでも、体の芯に滾る熱は収まらず、ペニスはまるで萎える気配を見せない。
絶頂を迎えて脱力する彼へ、追い討ちをかけるように、緩んでしまった肛門へと、スライムが侵入した。
毛皮の上から触れられるだけで、信じられないほどの快感に襲われたというのに、直腸の粘膜へと、スライムがへばりついて行く。
「んぐぅぅうううううっ! んんっ、んんっぅん!!!」
もう何も分からなかった。頭を突き抜ける衝撃に、意識を失いかけながら、早くも2度目の絶頂を迎える。
だが、責めは終わらない。両脚を全て包み込んだスライムが、玉袋、ペニス全体と、さらに覆っていく。
もはやそれが快感なのか、苦痛なのか、判別する事も不可能だった。
顔を左右に振って涙を撒き散らしながら、スライムの中へ溶け込ませるように射精を続ける。
スライムは執拗に、彼の尿道の中までも入り込み、精液を搾り取ろうと責め立てる。
そして彼の精液を含んだスライムの中に、卵のような球体が出来上がり、押し広げられた肛門の中へと飲み込まれていった。
狼が責めから開放されたのは、玉袋の中の精液を全て搾り取られ、直腸へ大量の卵を産みつけられてからだった。
腹をパンパンに膨らませた狼が気を失うと、苗床を労わるように、スライムがクッションとなって包み込む。
その一部始終は、室内に仕掛けられた監視カメラでモニタリングされていた。
拷問用生物兵器についての報告書には、『効果は充分過ぎるが、拷問の手を緩めることが出来ない。改良の余地あり。※実験対象は廃棄』と記されていた。
終
トラ 触手 (SSリクエスト用) by森谷
SSをリクエストするために某所に投稿。2人の方が執筆してくださいました。感謝!
(11月18日追記)
SSを執筆していただきましたもけさんに転載許可をいただきました。
もけさんのサイトには他にもSS多数です。是非!
written by もけ
「は、放せ! この……!」
青く細長い触手に身動きを封じられながら、虎の男が叫んだ。
目の前にはこの触手の飼い主が、楽しそうに笑いながら立っている。
体を縛る触手は確かに細かったが、彼の鍛え上げた体でさえも、まるで身動きが出来ないほどの力を持っていた。
そして服の内側へと入り込み、中から虎が見につける衣服を引き裂き、ボロ切れへと変えていく。
加えて、ヌメヌメとした粘液に包まれた触手が体を這い回る感触は、不快そのものである。
虎は無駄だと分かってはいても、目の前の男へ向かって叫び、体に力を込めるのをやめることが出来ずに居た。
「それにしても、いい体だな。俺の触手たちも喜ぶよ」
「何を……!」
男がしゃがみ込み、虎の恥部や胸を申し訳程度に隠す布切れを掴み、投げ捨てる。これで虎は丸裸だった。
なすがままの状況に、虎は忌々しげに唸り、せめてもの抵抗へと、男に唾を吐きかけようとする。
そんな必死な姿を、男が鼻で笑った。それと同時に、青い触手が彼の顎に絡みつき、口を開く事が出来ぬよう押さえつける。
「んんんーーっ!」
「そうだ、触手はまだ居るから、頑張ってくれよ」
抵抗は無意味、改めて触手がそれを伝えると、するすると虎の頭を這い始める。
さながら目隠しのようにの様に、彼の両目をふさいだ。
視界の塞がれる間際、彼は自分の体に這い上がってくる、新たな触手を目にする。
他に比べて太く短い肉色の触手と、男性器のような先端を持った、凶悪な形状の触手。
「や、やめろ……、俺をどうす…――がぁッ!?」
青い触手の先端が四つに割れ、その口を露にしながら、虎の乳首へと吸い付いた。
甘く噛むような刺激と共に、きつく吸い上げられる。虎は歯を食いしばって、快感に体を震わせた。
口を開けば、出てくるのは嬌声だけだろう。それは絶対に嫌だった。
目をふさがれていても、必死に快感に耐えている姿を嘲笑われているのが分かる。
握り締めた手のひらに爪が食い込み、つーっと血が流れた。
だが、責めはまだ始まったばかりであった。青い触手が虎のの太股に回って開脚させ、反対側の先端で肛門を突付く。
鳥が啄ばむように、軽い刺激を執拗に与えられる。そのたびにアナルがキュッと収縮していた。
「あぁっ、がぁっ、がぁあ……っ」
もはや口を閉じていることは出来なかった。口を開いて大きく吐息を漏らし、それに付随して嬌声を上げる。
胸まで這いずってきた太い触手が、不審な動きをしているのを感じても、再度口を閉じる事は出来なかった。
――グボッ
「ふが、んんんむぅ……っ!」
口へと太い触手が捻じ込まれる。虎の大きな口を一杯に開けて、ようやく入るようなサイズのもので、さらにゴムのような質感の表面は、いくら強く噛み付いても噛み切れず、それも無視して彼の口の中で暴れる。
「んんんぁむぅっ!!?」
触手の生臭い味に吐き気を催すのも束の間、肛門へと触手が侵入を始める。
細い触手は痛みを与える事無く彼の直腸を這い回り、その中へと淫らな液体を吐き出していく。
まるで精液のように熱く粘性を持った液体が直腸内へ溢れ返り、それを触手がかき回す。
口を塞がれていなかったら、虎は絶叫していたろう。
淫液の作用か、虎の体内からジワジワと熱を帯び、その体が性的に興奮した印を見せ始める。
さっきまで垂れ下がっていた虎のペニスが、むくむくと勃起し、先端からカウパーを溢れさす。
胸の上に乗る肉色の触手が、待っていたとばかりに大きな口を広げ、そのペニスへと吸い付いた。
「んんっ、んんんぁあぅっ!!」
虎が鼻息荒く嘶いた。頭の中での嫌悪とは裏腹に、体は興奮し、気が狂いそうな程の感度で触手の動きを感じ取る。
胸を、アナルを、ペニスを同時に刺激されながら、彼の瞳から大粒の涙が零れ落ちて、頬へと伝った。
――びゅるるるっ
口を塞ぐ触手が、彼の喉へと盛大に射精する。口に栓をされていた彼は、それが喉を通過し体内へと流れ込むのを、ただ感じ取るしかなかった。
それと同時にペニスを覆う触手の口が収縮し、軽く牙を立てられる。
虎は無言で快感に打ち震えながら、自らも射精した。触手が蠢き、その精液を飲み下していく。
出したばかりのペニスを吸い上げられ、虎の全身が快感に痙攣した。
――ぐぽっ
虎の口から触手が排出される。だが、もう抵抗の言葉も無い。ただ荒い息を重ねるだけだった。
「おいおい、もうグロッキーか? 一番大変なのが残ってるぞ」
馬鹿にしたような声が側から響き、肛門へと近づく、太い触手を感じる。あの、男根の形状を模した触手だ。
つぷり、その先端が、ほぐれたアナルへと密着する。虎は全身の毛を逆立てると同時に、力なく首を横に振った。
「あぁ、あああぁああっ……」
ぐぐっと触手の先端がアナルを通過する。そして、男根で言うところ亀頭が彼の体内へと侵入を果たした。
だが、きついのはこれからだ。亀頭の後ろには、大量のイボイボが並んでいる。
「がぁ、がぁあぁあっ、ぐぁ…――んむぁっ、んぐぅ……!」
そのイボイボさえも彼の肛門をくぐる。限界まで感度の上がった体へと、強すぎる刺激が送られてきた。
虎は絶叫を上げるが、それを遮るように、大きく開かれた彼の口へ、あの肉色の触手が飛び込む。
ぐぽっ、ぐぽっ、淫液に塗れた直腸を、太い触手がピストンのように這いずり回る。
頭が焼け切れてしまいそうな、強烈な快感は、最早苦痛との区別もつかなかった。
いつの間にか彼の両目からは大量の涙が零れ落ち、頬の毛皮を濡らし、鼻からも鼻水が垂れている。
大きな子供が泣き叫んでいるような光景だった。
ピストンのたびに、触手に飲み込まれたままのペニスが震え、もう2,3度は射精を迎えたらしく、肉色の触手は絶えず蠢いていた。
「んんっ、んっ、んがぁんっ!!」
直腸を突き上げられると、腹から押し出されるように悲鳴が漏れる。
首を横に振って、涙と鼻水を撒き散らしても、触手は口から外れず、彼の喉へと塩辛い粘液を流し込んでくる。
乳首に吸い付く触手は、痛みとも快感とも突かぬむず痒い刺激を与え、虎の胸を震わせた。
そして、ピストンを繰り返す触手が、不意に太さを増し、ビクンと脈動する。
虎は口を塞がれてくぐもった悲鳴を上げながら、「それだけは」と泣きじゃくった。
――びゅくっ、びゅくっ
「んがぁああんっ!!!」
彼の直腸へと、触手の精液が注がれる。全身の毛皮が波打つように逆立ち、同時に虎自身も何度目か分からぬ射精を迎えた。
体内へ注がれた精液は、入り切らずに結合部から噴出し、地面に白い水溜りを作る。
ぐぽっ、口の触手が引き抜かれた。
「ひっ、ひぃん…ッ、た、助け……がぁっ!?」
アナルを貫く触手が、抜かれる事無くピストンを再開した。
助けなど来るはずも無い。彼は触手の慰み者となる他なかった。
終